米インテル副社長兼モバイル・プラットフォーム事業部長のムーリー・エデン氏は2006年10月18日、WPC TOKYO 2006の基調講演で最新CPUの動向や今後のロードマップについて語った。

登壇した米Intelのムーリー・エデン副社長

 エデン氏が最も強調したのは、ノートPCによるパソコンの「真のパーソナル化」。パソコンの需要が世界的にもノートPCに移行していることを受け、携帯電話と同様にパソコンは個人の所有物としてパーソナル化が進む、とした。2008年には、米国や欧州でノートPCがパソコン全体に占める割合は50%を越えると予測。ソニーの小型パソコン「VAIO type U」や松下電器産業の「Let's note」を例に挙げながら、「日本は小さいホームファクターのふるさとだ」と語った。日本のメーカーが携帯性に優れたノートPCの普及に今後も大きな役割を果たすであろうことを強調した。
 
 また、今後登場するであろうユニークな形状のノートPCについても触れ、エデン氏が飛行機の座席でも使いやすいコンセプトPCを披露した。液晶画面が手前にスライドして、前の座席がリクライニングしたときでも利用できるという。

ステージ上には飛行機にある座席が設置され、実際にエデン氏が着席してコンセプトパソコン披露した

 ノートPCの普及にともない、その性能も求められる。エデン氏はCore 2 DuoがノートPCに搭載されることで「携帯性に優れているが性能はまあまあ、というのではなく、いまやデスクトップと同レベルの処理が可能になった」と述べた。松下電器産業と協力し、バッテリー駆動時間の延長や、低消費電力の研究にも力を入れているという。

 2006年年末に登場予定の「Core 2 Quad」にも言及。Core 2 QuadはCore 2 Duoに比べて2倍の4つのコアを搭載し、性能もCore 2 Duoの2倍になるとしている。エデン氏は「Core 2 DuoによってCPUは並列処理が可能になり、人間の脳に近付いた。Core 2 Quadは“天才”の域と言っていい」と述べた。

 今後はノートPCでデジタル放送が視聴できる機種が増え、無線LAN規格もIEEE802.11nが登場することでノートPCの性能が向上するとともに、需要はさらに増えていくだろうと予測した。

Core 2 Duoの性能の高さを熱く語るエデン氏 Celeron MとCore 2 Duoの性能を比較した。ファイルの圧縮処理が、Core 2 Duoでは50%ほどの稼動でできる
Core 2 Duo(右)とCore 2 Quad(左)の比較では、動画のエンコードをデモンストレーションした 会場は多くの聴講者で満席になった
エデン氏は実際にステージ上に設置された飛行機の座席で、コンセプトPCを披露した。前の座席がリクライニングされても、ディスプレイをスライドすることで作業できるという
Core 2 Duo(右)とCore 2 Quad(左)のデモンストレーション。15秒のMPEG2の動画を別のフォーマットに変換、Core 2 Duoが40秒かかった作業をCore 2 Quadは27秒で終えた