近畿日本ツーリストの新企業ブランドロゴ

 近畿日本ツーリストは、来年1月1日から新たなブランディング活動に取り組む。新企業ブランド名「KNT」、企業ロゴ「knt!」を導入する。発音は「ケイ エヌ ティ」。従来、顧客や取引先からは社名を「近ツー」や「近ツリ」と略されることは多かったが、会社として一度もコンセンサスを取ったことはなかった。正式な社名は変わらないものの、呼称は新たなブランド名で統一していく。

 同社は昨年創立50周年を迎え、今年は新たな中期経営計画をスタートさせた節目の年でもある。CS推進室部長の袋井等人事部長は「これまでの企業DNAを生かしながら変わっていく集団になるというメッセージが込められている」と話す。ロゴマークに入る「!」には、「お客様に対して意外性や驚き、感動を届けるという約束を指す」(袋井部長)という。

 新企業ブランド名制定の直接のきっかけは、太田孝社長の今年1月4日の年頭のあいさつだ。「企業ブランドネームとショップブランドネームを新たに決めたいと考えています」という太田社長の言葉を受けて、経営企画部が社員からブランド名を公募。約5000通りの候補が寄せられた。ここから経営企画部のメンバーがおよそ50の候補に絞り込んだ。

 7月に太田社長を室長とするCS推進室が発足。社長直轄組織である合計17人からなるCS推進室には営業や広報、支店など社内の様々な部署から人材を集め、ブランドやCS(顧客満足度)に対するできるだけ多くの社員の意見を吸い上げやすくした。CS推進室が50から4つの候補に絞り込んだ。そして社員アンケートを行い、最終的に「KNT」に決まった。CS推進室では、同時期に合宿を行い、6カ条からなるブランドステートメントも策定した。

 今後は全国の約230の営業店や部門ごとにCSリーダーを1人立てる。CSリーダーを中心に新企業ブランド名とロゴ、ステートメントの浸透を図る。イントラネット上にCS推進室のホームページを立ち上げ、情報を発信する準備も進めている。具体的には顧客とのエピソードや支店ごとのCS運動の事例を紹介するものだという。
 
 太田社長自身もブログや会議、研修の場で度々、CSを軸にしたブランド力向上について話すという。近畿日本ツーリストは今後、トップダウンとボトムアップの両方でブランド力強化にあたる。