特別委員会について説明するJEITA会長の秋草直之氏(富士通 代表取締役会長)
特別委員会について説明するJEITA会長の秋草直之氏(富士通 代表取締役会長)
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 電子情報技術産業協会(JEITA)は、ソニーエナジー・デバイス製のノートパソコン向けリチウムイオン2次電池の不具合問題について、原因究明とユーザーへの告知を担う特別委員会を発足させた。同協会 会長の秋草直之氏(富士通 代表取締役会長)が2006年10月17日の定例会見で明らかにした。今回の問題をめぐって、業界団体であるJEITAが具体的な対策に乗り出すのは初めて。

 JEITAが設置するのは「ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会」。同協会 パーソナルコンピュータ事業委員長の山本正己氏(富士通 経営執行役)が特別委員会の委員長を兼務する。JEITAに加盟するパソコンメーカー各社の関係者、ソニーエナジー・デバイスの関係者、電池メーカーの業界団体である電池工業会の関係者が参加する。ソニーが公表している電池内部への金属片混入のほか、バッテリーパックの電源回路の設計やパソコンの電源管理機能などについても踏み込んで、発煙・発火などが起こりうる原因について具体的に検証する。その上で検証結果を広くパソコンユーザーやパソコンメーカー各社へ告知する。「現在はユーザーも量販店も疑心暗鬼になっており、このままでは年末商戦におけるノートパソコンの販売にも響きかねない」(秋草氏)ことから、今後数週間以内をめどに原因の究明と告知を進める考えだ。

 今回の問題については、ソニーが不具合の起こる恐れのある電池を全数交換する方針を打ち出し、パソコンメーカー各社もユーザーに対しバッテリーパックの交換方法などの案内を順次始めている。しかし「原因をとことん追求しなければ対策の立てようがない。不具合の原因が何なのかが現時点でもはっきりしないのは問題」(秋草氏)と指摘。ユーザーの不安を払拭するには、電池の交換だけでは不十分との認識を示した。

 なお、一連の不具合の原因について秋草氏は「化学的に安定しない性質を持つリチウムイオン電池を、安定した性質の商品に仕上げるのは電池メーカーの役目。パソコンメーカー側に問題はないと思う。ソニーの問題だと考えるメーカーが多いのではないか」との認識を示した。その上で秋草氏は、「ソニーへの損害賠償請求の是非については各パソコンメーカーが考えること」とした。秋草氏の所属する富士通では、ソニーへの損害賠償について現時点では決めていないという。