米Blue Coat Systems,President and CEOのBrian NeSmith氏
米Blue Coat Systems,President and CEOのBrian NeSmith氏
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 ストレージ・ベンダー米Network Applianceが手がけていたコンテンツ高速配信用のWebプロキシ・サーバーである「NetCache」事業を2006年9月に買収完了した米Blue Coat Systems。日本におけるNetCacheの既存顧客向けに日本法人が開催する「NetCache製品フォーラム」に合わせて来日した同社社長兼CEO(最高経営責任者)のBrian NeSmith氏に,プロキシ・サーバーの市場動向を聞いた。

---ITから見た現在のプロキシ・サーバーの位置付け,業界動向を教えて欲しい。

 プロキシ・サーバーは,(ルーターなどと比較して)ネットワーク・アプリケーションを使う上で一番セキュリティが高く,企業が社員のインターネット・アクセスを管理するための方法として最良だ。プロキシ・サーバーが進化したことで,社員はウイルスやスパイウエアの危険を回避しながらインターネットを使えるようになってきたし,企業は社員のインターネット・アクセスをトラッキングできるようになってきた。

 セキュリティなど機能面での充実と,ネットワーク・アクセスの高速化を両立する。これが狙いだ。元々,Blue Coat Systemsは高速化からスタートしている。コンテンツをキャッシュするキャッシュ・サーバーだ。その後,セキュリティと利便性の向上を狙って機能を充実させつつ,高速化/最適化を継続してきた。

---機能強化には,いくつかの買収が背景にある。振り返ってみて,それぞれの買収には大きな意味があったのか。

 ウイルス対策アプライアンスの「Proxy AD」は,2003年の米Ositis Software買収が元となっている。この買収は良かったと言えるだろう。URLフィルタリングは2004年に米Cerberianを買収したが,その効果を感じるまでには少し時間がかかった。2年も経つと,この買収は非常に大きい効果があった。新しいところではSSL-VPN装置で使っているオンデマンド・セキュリティの米Permeo Technologiesを買収したが,まだ評価を下す時期ではない。

 直近ではNetwork ApplianceのNetCacheを手中に収めたが,これによってNetCacheの既存顧客を獲得することができる。今回来日した目的は,日本におけるNetCacheの既存顧客を対象としたフォーラムに出席してBlue Coatのサポート体制をきちんと説明するためだ。サポートは継続するが,Proxy SGへと移行するシナリオを勧めている。向こう2年間で90%の顧客がProxy SGに移行すると見ている。

---プロキシ・サーバーの今後の姿,次の事業展開はどういったものか。

 最適化の仕事はまだ終わってはいない。例えば,VoIP(Voice over IP)やレガシー・アプリケーションの最適化に取り組むつもりだ。

 2006年11月には,デスクトップ・クライアントをネットワークのセキュリティと高速化のスキームに参加させるための新製品を発表する。コンテンツ・フィルタリングと高速化のためのソフトウエアを,オンデマンドでダウンロードして使えるようにする。クライアントPC向けのオンデマンド・セキュリティは,SSL-VPN装置のクライアントとしてすでに出荷しているが,この方式を用いてコンテンツのフィルタリングとアクセス高速化の機能を提供する。

 このクライアント向けのソフトを「K9」と呼んでいる。K9を紹介するサイト上で,フリー・ソフトウエア版のクライアント・ソフトをダウンロード配布している。当社のサーバーがなくとも,コンテンツ・フィルタリング機能を利用することができる。フリー・ソフトウエア版はあらかじめインストールして使う形式だが,11月に発表する製品では,オンデマンドで利用できるものを提供する。