米Mirapoint,Corporate Marketing & Global Channels担当取締役のCraig Carpenter氏
米Mirapoint,Corporate Marketing & Global Channels担当取締役のCraig Carpenter氏
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 運用が難しいメール・サーバーに着目し,1997年にメール・サーバー専用装置という製品ジャンルを確立したベンダーが米Mirapoint。同社の最新製品が,2006年4月(国内では2006年10月)に出荷を始めたメールのアーカイブ専用装置「ComplianceVault」。日本での出荷に合わせて来日した同社Corporate Marketing & Global Channels担当取締役のCraig Carpenter氏に,メール・アーカイブの市場動向を聞いた。

---メール・アーカイブ専用装置のComplianceVaultは北米での出荷後,数カ月が経過した。販売実績を教えて欲しい。

Craig氏: 2006年4月に市場に投入した機種は,中小企業向けの容量1Tバイトの製品「MCV100」だ。北米での出荷実績は100セットを下回る程度だが,これには理由がある。北米の主な顧客は大企業であるため,本格的に売れるのは2006年11月から出荷する容量3.7Tバイトの中・大企業向けの機種「MVC370」からになる。日本でも10月16日にMCV100を出荷した後,北米と同時期(2006年11月)にMVC370を投入する。北米に遅れて夏ごろ出荷を始めた欧州,中国,オーストラリアの3国は中小企業の顧客が比較的多く,MCV100が受け入れられた。

---ComplianceVaultの顧客像を教えて欲しい。大企業が主な対象という話だが,大企業はすでにメールのアーカイブをしているのではないか。

Craig氏: 大企業はメールをアーカイブしているが,その形態はアウト・ソーシングだ。メールをアーカイブするサービスを提供する事業が成立しているのだ。アウト・ソーシングに巨額を投資している大企業は,ComplianceVaultを購入することによって,はるかに安価にメールをアーカイブできるようになる。

 アーカイブにかかるコストを削減できるというだけでなく,企業の重要な情報であるメールを自社に置くことができるという点も重要だ。内部統制という目的からして,メールのアーカイブはアウト・ソースすべきではないし,企業も本音では自社で管理したいと思っている。従来はアウト・ソーシングを超える巨額の投資が自社でのアーカイブには必要だったが,ComplianceVaultを使えばアウト・ソーシングよりも安価に自社でアーカイブが可能になるというわけだ。

---日本で出荷するComplianceVaultにも,北米同様にIM(インスタント・メッセージ)のアクセス制御機能とアーカイブ機能が付くのか。国内ではセキュリティ・ポリシーの都合でIMを禁じている企業が多いが,ComplianceVaultによってIMの需要が拡大する気もする。

Craig氏: IMのアクセス制御機能とIMメッセージのアーカイブ機能は,もちろん日本で出荷するComplianceVaultであっても備えている。メールとIMはメッセージングという意味で等価であり,共通に管理されていなければならない。確かに日本でのIMの需要は低い。現在使われていないだけでなく,近い将来も北米のようには広まらないだろうと見ている。

 北米でもIMをセキュリティ・ポリシーで禁じる例があったが,失敗に終わっている。禁止されてもユーザーは使い続けるからだ。ユーザーの利便性を排除するポリシーは決して広まることはない。便利で役に立つIMは,ビジネス・パーソンにとって必要不可欠なのだ。もしComplianceVaultによってIMがメールと同じように管理できるということを企業が知ることでIMの需要が広がるとしたら,それは興味深い。