[画像のクリックで拡大表示]

 Linuxの保護を目的とする特許管理会社、米オープン・インベンション・ネットワーク(OIN)のCEO(最高経営責任者)であるジェリー・ローゼンタール氏は10月16日、都内で開かれた記者会見の席上で「Linuxカーネルで特許侵害に当たるものは現状見あたらない」と断言した(写真)。OINは、NEC、ソニー、米IBM、米ノベル、米レッドハット、蘭フィリップスといったLinux関連の製品・サービスを提供するベンダー6社が出資して運営する会社。NECはこの9月に参加し、10億円超を資金提供したと見られる。

 Linuxカーネルにおける特許侵害について、2004年8月に特許監視団体のPublic Patent Foundationが調査した結果として、“283件の特許侵害の可能性があり、そのうち27件は米マイクロソフトが保有するもの”との一部報道があったが、ローゼンタール氏はそれを完全に否定した。同氏はOINのCEOに就く以前は、米IBMの知的財産/ライセンシング事業を担当する副社長を務めていた。

 OINは、Linuxで特許侵害が発生しないように、企業が保有する特許を買い取る活動を進める。同社には収入がないが、出資会社などからの資金提供で運営する。「資金は十分にある。米コマースワンが保有していた特許を約1500万ドルで買い取ったが、全体からすればほんのわずかだった」(ローゼンタール氏)という。既に100件程度の特許を買い取っている。

 さらに、保有する特許をLinuxに対して行使しないという同意と引き替えにOINが買い取った特許権の使用許諾を得るライセンシを募っている。「今回の訪日もそうしたライセンシを集めることが主な目的だった」(ローゼンタール氏)と述べる。ただ、ライセンシは世界的にもまだなく、特許権を行使しないのは資本参加している6社にとどまる。資金にも限界があるなか、ライセンシをどれだけ集められるかが、OINの活動のカギになる。