「903i」6機種をはじめ、14機種を一挙に発表
「903i」6機種をはじめ、14機種を一挙に発表
[画像のクリックで拡大表示]
NTTドコモの夏野氏。手にしているのは開発中の薄型端末
NTTドコモの夏野氏。手にしているのは開発中の薄型端末
[画像のクリックで拡大表示]

 NTTドコモは2006年10月12日、第3世代携帯電話(3G)端末の上位シリーズである「FOMA 903i」など14機種を発表した。903iは6機種あり、2006年10月下旬以降順次発売する。2006年末には低価格機の「SIMPURE」2機種を発売し、2007年1月以降、高速データ通信規格のHSDPAに準拠した「FOMA 903iX」2機種と、携帯機器向け地上デジタル放送であるワンセグの受信が可能な「FOMA 903iTV」3機種も投入する(発表資料製品情報)。

発売済み製品を含め、3G全端末で日本版e911に対応

 製品発表に併せ同社は、2007年4月に始まる緊急通報時の位置通報システムへの対応を、国内の移動体通信事業者として初めて明らかにした。同システムは一般に「日本版e911」と呼ばれるもの。総務省令(事業用電気通信設備規則)の改正により、2007年4月以降に新しく発売される3G端末は、原則としてGPS(全地球測位システム)モジュールを内蔵し、110番/118番/119番通報時に端末の位置情報を警察、海上保安本部、消防へ通知することが義務化される。

 NTTドコモは、今回発表の903iの6機種にGPSモジュールを内蔵し、日本版e911の制度に準拠した位置情報通知も可能にした。また、GPSを内蔵しない機種でも基地局からの電波による測位情報の取得は可能なため、省令の対象となっていない2007年4月時点で発売済みのすべての3G端末、つまり既存のFOMA全機種でも、位置情報通知を可能にしていくという。

 このほか同社は、iモードのマークアップ言語に「住所リンク機能」を追加する。コンテンツ事業者がiモード向けサイトを構築する際に、専用のタグを付けて住所を記載しておくと、ユーザーの端末側で該当する位置の地図を表示させたり、住所リンク機能で示した住所への行き方を端末側の歩行者ナビゲーションソフトで検索、表示させたりすることが可能。ただし、端末側がこの機能に対応している必要がある。サービス開始当初は、ホテル予約サイトの「一休.com」が、この機能を用いてホテルや旅館の所在地を案内する予定。

 903iの6機種では、歩行者ナビゲーションソフトとしてゼンリンデータコムの「ゼンリン地図ナビ」またはナビタイムジャパンの「NAVITIME」のいずれかをプリインストールする。フル機能を使うには有償のユーザー登録が必要だが、基本機能は無償として903iの全ユーザーに開放する。NTTドコモはこの分野でKDDI(au)に先行を許しているが、基本機能の無償化することで「当社はユーザーに使われるGPSを目指す」(NTTドコモ 執行役員 プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野剛氏)と宣言した。

au、ソフトバンクへの対抗心むき出しに

 903iをはじめとする新端末は、「多くの機能を盛りこんだことで、(競合他社の端末と比べて)最も買って損しない、後悔しないものになった」(夏野氏)と同社は強調する。実際、定額制の音楽配信サービス「Napster」との連携が可能な音楽プレーヤー、非接触型ICカードのリーダー/ライター、紛失した端末の捜索、最大2MBの大容量メールの送受信、W-CDMA方式による国際ローミングなど、多くの機能を追加・拡充した。

 新端末の報道機関向け説明会では、10月24日に始まる携帯電話番号ポータビリティー(MNP)を念頭に置き、競合他社へのライバル意識を随所に示していた。今回、開発途上の製品も含めて14機種を同時発表したのも、12機種を同時発表したKDDI(au)や13機種を同時発表したソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)に対抗したものといえる。また、ワンセグ対応端末として最も販売台数が多い「SoftBank 905SH」と同様にディスプレイの回転機構を備えた端末を投入したほか、ソフトバンクモバイルが力を入れている薄型端末についても「2006年度内に発売予定の中位シリーズ『FOMA 703i』では厚さ12mmの薄型端末を2機種投入する」(夏野氏)とした。