総務省は10月12日,2011年以降に停波する地上波アナログ・テレビ放送の周波数の活用を検討する「電波有効利用方策委員会」の第3回会合を開催した。今回は,同委員会の下部組織である「VHF/UHF帯電波有効利用作業班」が,これまでの作業状況をまとめた中間報告書を提出。委員会の構成員が報告書に対する意見を述べ,今後の検討の進め方について議論した。

 アナログ放送終了後の周波数活用については,今年3月から4月にかけて総務省が活用方法の提案を公募。民間企業などから計181件の提案が寄せられた。これを受けて作業班は周波数割り当ての対象を絞り込むべく,7月から181件の活用方法を類型化。(1)自営通信システム,(2)ITS(高度道路交通システム)関連システム,(3)電気通信システム,(4)デジタル放送,(5)アナログ放送,(6)その他という6分類33件の技術方式に集約し,その内容を報告書にまとめた。

 ただ,活用方法の数は当初の約3分の1になったものの,それぞれの活用方法が必要とする周波数帯域の合計は,依然として割り当て予定の帯域幅を大きく上回る。委員会の構成員からは,「類型化だけでなく,何らかの優先度付けが必要」(上智大学理工学部の服部武教授),「(提案された活用方法を)採用した場合の社会的効果についてもう一度確認し精査する必要がある」(東京工科大学コンピュータサイエンス学部の黒田道子教授)などと,活用方法をさらに集約するための検討が必要だと指摘された。

 これに対し,東京理科大学理工学部の伊東晋教授は,できるだけ多くの用途で活用できるようにする手段として周波数共用を提案。「時間的な利用頻度や場所的な利用密度の低いシステム(活用方法)には,周波数共用を推進できるのではないか」とした。次回の会合から実際に周波数の共同利用が可能なのか,共同利用可能な場合にどの活用方法を採用していくかなどを具体的に検討する見通しだ。

 今後のスケジュールは,11月中に委員会の第4回会合が開催され,12月以降に作業班が適切な周波数配置などについて検討する。