総務省は10月6日,「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」の第2回会合を開催した。同委員会では,デジタル・コンテンツの扱いに関する課題とその解決策を議論している(関連記事)。

 第2回のテーマはデジタル・コンテンツの利用ルールの現状把握。総務省と文化庁が私的複製の現状を説明した。私的複製(私的使用のための複製)は著作権法第30条に規定があり,一定の条件を設けた上で認められている。私的複製は以前からたびたび問題となっており,状況の変化に応じて条件の見直しや罰則の強化が行われてきた。例えば1992年には私的録音録画保証制度が設けられた。デジタル方式の私的複製は広範かつ大量に実施され,高品質の複製物を作成できることから,私的複製を自由とする代わりに権利者に補償金を支払うことが義務化された。

 ここにきて,私的複製の状況が再び大きく変わってきた。従来は専用装置でコンテンツを録画/録音していたが,現在はパソコンでもできるようになった。HDDレコーダのように機器とメディアが一体になった製品も登場している。これらの製品の中には,前述した補償金の支払いの対象となっていないものがある。その一方で複製を防ぐための技術も進化しており,私的複製のルールを抜本的に見直そうということになった。

 説明後の議論では,コンテンツの不正流通に対する放送事業者の取り組み,私的録音録画保証制度の対象範囲,デジタル化による不正利用の悪化の懸念などが話題に上がった。委員会の主査を務める慶応義塾大学の村井純教授は会合の冒頭で「今回の目的は現状を確認することであって,今後のあり方を議論することではない」とくぎを指していたが,後半はあり方に関する意見が集中し,やや発散気味で終わった。次回は10月24日に開催する予定で,諸外国の動向を確認,議論する。