10月2日に発足したJBISホールディングスは、今後の経営方針を発表した。JBISは、中堅ITサービス企業の日本電子計算(JIP)と、証券事務の受託サービスを提供する日本証券代行(JSA)の2社が、経営統合するために設立した持ち株会社である。社長には、前JIP社長の内池正名氏が、副社長には前JSA社長の森谷敬氏が就任した。

 2社が経営統合を決断したのは、2009年に見込まれる株券電子化などをにらみ、証券分野で、業務から情報システムまでのサービスを一体で提供できる体制を作るためである。まずはシナジーを発揮する手始めとして、JBISには経営企画部に加え、営業統括部を設置した。顧客情報を共有しながら、「JIPの情報システムの顧客にJSAの事務サービスを紹介したり、JSAの顧客に、JIPのITアウトソーシングを提案したりする体制を構築する」(内池社長)という。

 既に、営業統括部の下で、JIPとJSA両社の営業やコンサルタントが、共同で顧客に提案する取り組みも始めている。特にJIPは、売買や口座管理といった証券の基幹業務システムのASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスが強み。今後は、JSAの事務企画・代行サービスを組み合わせた、総合的なBPOサービスを開発していく方針だ。

 このように証券分野のサービスを強化していくことで、顧客別では金融機関向けの売上高比率が伸びる見込み。2007年3月期は売上高の48%が金融機関向けの見通しだが、2010年3月期はこれが55%に高まると見る。また2010年3月期まで、約7%の売上高成長を維持する目標を掲げている。経営統合前の2社の売上高を単純合計すると2006年3月期は484億円(JIPが383億円)だったが、2010年3月期は600億円を達成する計画だ。