デモ用の再生画面。各アイコンが楽曲で、X軸が時間、Y軸が類似度になる
デモ用の再生画面。各アイコンが楽曲で、X軸が時間、Y軸が類似度になる
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技術の概要を解説している展示パネル
技術の概要を解説している展示パネル
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 パイオニアは、複数の楽曲を自動的にクロスフェードさせて連続再生する技術を、千葉市の幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2006」で披露している。パソコンや携帯音楽プレーヤーなどに格納された楽曲の特徴をメタデータとして抽出し、特徴が類似する楽曲を選んで、ユーザーが違和感を感じないタイミングで途切れることなくクロスフェードするものだ。

 携帯音楽プレーヤーなどのランダム再生を発展させる形で、あたかもDJのライブパフォーマンスやFM番組のミックスなどと同様に、複数の曲をつなげて連続再生することを想定している。「技術的には既にほぼ完成している」(パイオニアの説明員)といい、今後、AV機器や音楽再生ソフトなどへの具体的な実装方法を検討していく。

 開発した特徴抽出のアルゴリズムでは、楽曲の波形から和音の進行、1分間当たりのビート量、音圧レベルといった要素を調べ、メタデータを生成する。このメタデータを基にして、ある楽曲の再生時に、特徴の似ている楽曲を探し、楽曲内のどの時点でクロスフェードさせると最も自然かも算出する。

 今回の実演展示で使われた再生画面では、X軸に時間、Y軸に楽曲の類似度を取ったグラフに楽曲のアイコンを並べて表示している。画面は一定速度で左へスクロールしており、現在再生中の楽曲が画面中央、過去の再生履歴が画面左、次の再生候補となる楽曲が画面右にそれぞれ表示されている。また、上に表示されている楽曲ほどスムーズに連続再生できることを示す。通常、コンピューターが次曲候補の中から1つを自動的に選び出し、再生中の楽曲の右横にハイライト表示する。これがスクロールして再生中の楽曲のアイコンと重なったところでクロスフェードとなる。ユーザーが別の楽曲を次曲として選択することもできる。

 メタデータは、パソコンへ楽曲をリッピングした際などであらかじめ生成しておき、楽曲とともに保存する仕組みを想定している。「楽曲再生時にリアルタイムで特徴抽出をするわけではないので、演算性能の比較的低い携帯音楽プレーヤーや携帯電話などでも実装できる」(パイオニアの説明員)。