ネットインデックス・イー・エスが参考展示した電力線通信モデム。高速電力線通信協議会(PLC-J)ブース内に展示してある。
ネットインデックス・イー・エスが参考展示した電力線通信モデム。高速電力線通信協議会(PLC-J)ブース内に展示してある。
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 ネットインデックス子会社のネットインデックス・イー・エスは,千葉市の幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2006」で高速電力線通信モデムを参考展示した(写真)。インデックス・イー・エスの試作機は,電力線通信専用の変調方式「LS-OFDM」(low side lobe-OFDM)を採用している。試作機の開発は,東京電力と三井物産を加えた3社が共同で行った。設計上の仕様では最大約200Mビット/秒である。

 LS-OFDMを採用したことで「電力線の課題の一つである大振幅雑音に対する耐力を向上させた」(ネットインデックス・イー・エス有線通信事業PLC開発の加來尚チーフエンジニア)。同社では,その理由としてLS-OFDMが70dB以上の雑音環境でも耐えられる特性を備えていることを挙げている。「家庭内の電力線の伝送路損失は平均で50dBと言われる。LS-OFDMを使ったモデムなら,大振幅の雑音環境下でも従来レベルに比較し安定して通信が可能」(加來チーフエンジニア)というわけだ。

 この雑音に強い特性は,他の無線システムとの共存も有利にする。電力線通信は他の無線システムに与える影響が懸念される一方で,高出力のアマチュア無線局などが電力線通信に影響を与える可能性もある。高出力のアマチュア無線機などから出た電波が電力線に乗ると,電力線通信の信号がつぶされてしまい,速度の低下が起こる。最悪の場合,通信ができなくなる可能性もある。「LS-OFDMモデムなら,出力1kWのアマチュア無線局が近くにあっても信号を通せるレベルにある」(加來チーフエンジニア)という。こうした特性は,LS-OFDMが信号の波形を従来に比べシャープにし,サイドローブを70dB抑えたことで実現した。

 今回の参考展示品は他社の製品と比較すると大型だ。加來チーフエンジニアは,「商用化までには回路の小型化を図り,1年~1年半後の出荷を目指す」とする。用途は,情報家電などを結ぶ宅内ネットワークとオフィスビルのLANを想定している。

●日経コミュニケーション編集部より 掲載当初のLS-OFDMの説明に誤りがあったため,正しい表現に書き改めました。以上,お詫びして訂正いたします。