CEATEC Japan 2006で基調講演をしたヤフーの井上雅博社長
CEATEC Japan 2006で基調講演をしたヤフーの井上雅博社長
[画像のクリックで拡大表示]
携帯電話でオープンなインターネットを利用できる環境を目指す
携帯電話でオープンなインターネットを利用できる環境を目指す
[画像のクリックで拡大表示]
動画や写真などのコンテンツをテレビ上で再生できるサービスを開発中
動画や写真などのコンテンツをテレビ上で再生できるサービスを開発中
[画像のクリックで拡大表示]

 ヤフーの井上雅博社長は2006年10月4日、千葉県の幕張で開催されているCEATEC Japan 2006で基調講演し、携帯電話やテレビなどさまざまな機器で同社の情報提供サービスを利用できるようにする「Yahoo! Everywhere構想」について述べた。同社の情報提供サービスは主にパソコン上で使われてきたが、あらゆる機器から利用できる環境をユーザーに提供することで、インターネットの利用頻度向上につなげていく。

 まず現在のインターネット利用状況を解説し、人口普及率が6割以上、ブロードバンド回線の契約数が2000万件以上に到達したと紹介した。このようなネット環境の普及に合わせて、Yahoo!のサービスも強化されたという。1996年のサービス開始当初は「キーワード検索」「カテゴリ検索」と2つのサービスしかなかったが、現在では100以上のサービスを用意。月間の利用者は4500万人に到達したという。

 今後は利用者数が急激に伸びる余地は少ないが、ユーザーごとの利用時間は長くなり、インターネットの成長はまだ続くと見る。成長につなげるための施策が「Yahoo! Everywhere構想」。これまでのパソコンだけでなく、携帯電話、ゲーム機、テレビ、カーナビなどでも同社のサービスを利用できるようにする。最終的には、朝起きてから寝るまで、生活の中のあらゆる場所でインターネットに接続できる環境を整える。

携帯電話をオープンなインターネットの世界へ

 今回の講演で主な具体例として見せたのが携帯電話とテレビ。これまで携帯電話では「iモード」「EZweb」「Vodafone live!」など携帯電話会社がそれぞれ独自の通信サービスをしてきた。同氏によると、この状況は従来のパソコン通信の世界に近いという。「PC-VAN」「Nifty」「AOL」といった通信業者が独自のサービスを提供し、お互いにメールで通信できる程度だった。この状況が現在の携帯電話のネットサービスに似ているというのだ。これに対して、ソフトバンクが投入したYahoo! ケータイでは専用ボタンを押すだけでYahoo!の画面が表示できることから、インターネットへのアクセスを簡単にしたと説明。「これは携帯電話にもう1つの閉じた世界を作るのではない。携帯電話をオープンなインターネットの世界へ持っていくための先導役になりたい」(井上氏)と方針を示した。

 続いて、テレビ画面でYahoo!のサービスを利用できるようにするための「Yahoo! Digital Home Engine」を紹介した。専用ソフトを組み込んだパソコンと家庭内LANで接続することで、テレビでYahoo!のサービスを表示できるようにする仕組み。なお、このためのテレビは、家庭内LANで映像や音楽データをやり取りするDLNA規格に対応している必要がある。デモでは、テレビのリモコンを使ってYahoo!の写真管理サービスにアクセスする様子を見せた。

 このDLNA方式のほかにも、ヤフーの米国本社では「Yahoo! Go」と呼ばれる、テレビ上でYahoo!のサービスを利用するためのインタフェースを開発中という。デモではリモコンの操作で「Movies」「Music」「Photos」といったコンテンツが利用できる様子を見せた。動画再生の例として、ヤフー創業者のジェリー・ヤン氏の「Yahoo! Goを日本で初めて紹介できてうれしい」というビデオメッセージも見せた。現状では「Yahoo! Digital Home Engine」「Yahoo! Go」の提供時期は未定。ほかにも日産自動車のカーナビでYahoo!メールを受信し、メールの内容を音声で読み上げるデモも実演した。

 日本はブロードバンドの普及率が高く、高品質なコンテンツを送信する環境が整っていることから「過去10年、米国がインターネットを牽引してきたが、携帯電話やテレビでインターネットを浸透させることは、ぜひ日本がリードしていきたい」と意気込みを語るとともに、業界への協力を呼びかけた。