総務省は10月4日,「情報通信審議会 情報通信技術分科会 5GHz帯無線アクセスシステム委員会作業班」(以下作業班)の第14回会合を開催し,報告書の作成に向けて動き始めた。この作業班では,次世代無線LAN規格「IEEE 802.11n」の国内への導入に向けて,技術面の規則について検討している。

 今後,作業班会合をさらに1回実施し,11月上旬までに上部組織の5GHz帯無線アクセスシステム委員会で最終報告書案を取りまとめる。その後,広く一般からパブリック・コメントを募り,最終報告書を作成する。12月21日の情報通信審議会 情報通信技術分科会において,総務省に答申することを目指す。

 ただし,答申を受けた段階では規則の方針が決まるだけ。実際には省令を改正して初めて,IEEE 802.11n規格の電波を発射できるようになる。総務省は,省令改正の施行を「2007年春くらいにしたい」としている。

 一連の議論が完了すると,2.4GHz帯(2.400G~2.4835GHz),4.9GHz帯(4.9G~5.0GHz),5.2GHz帯(5.15G~5.25GGHz),5.35GHz帯(5.25G~5.35GHz),5.6GHz帯(5.47G~5.725GHz)の4種類の周波数帯で,IEEE 802.11nを導入する準備が整う。

 なお,IEEE 802.11nの仕様のうち,MIMO(multiple input multiple output)などの一部機能は現時点でも国内で導入可能。ただし,チャネル幅を40MHz幅に拡張して高速化する機能などは導入できない。来春の省令改正後は,こうした機能も含めて“フル仕様”で導入可能になる。