写真1●ヤフーの井上雅博社長
 「近い将来,パソコンや携帯電話だけでなく,テレビやゲーム,カーナビなどの機器を使って簡単にインターネットを利用できるようになる」---。ヤフーの井上雅博社長(写真1)は10月4日,「CEATEC Japan 2006」で同社の推進する「Yahoo! Everywhere戦略(写真2)」について語り,ヤフーの動画コンテンツをテレビで再生する「Yahoo! Digital Home Engine」のデモンストレーションを実演した。


写真2●「Yahoo! Everywhere戦略」のイメージ

 井上氏はまず,モバイル・インターネットが抱える現状の問題点として,携帯電話の事業者がそれぞれの専用サイトでインターネット・サービスを提供しており,課金サービスやメール以外に利用が広がっていないことを指摘。この状況を10年前のパソコン通信になぞらえながら,「AOLがパソコン通信の接続をオープンにしてサービス内容と利用者を拡大したように,ヤフーはモバイル・インターネットの現状を変えていく」と語る。つまり,利用者が携帯電話会社の専用サイト経由ではなく,インターネットに直接アクセスすることで多様なサービスを利用できるようにしていく,とした。

 ここで井上氏は,ヤフーがソフトバンク・モバイルと共同開発した携帯電話を取り上げ,簡単なデモンストレーションを行った。携帯電話の画面の一番上に配した「Yahoo!ケータイボタン」を押せば「Yahoo!JAPAN」にログインでき,数十種類のサービスをすぐに利用できる。今回のデモでは,CEATEC会場で撮影し,ヤフー・フォトに格納しておいた写真を,携帯の画面上に表示した。

 講演では次に,デジタル家電の本命であるテレビへの接続サービスに話を進めた(写真3)。「リビングルームにあるテレビをインターネットにつなぐ方法はいろいろある。ヤフーはどの方法にも対応できるようにする」と井上氏は豪語する。


写真3●デジタル家電の本命であるテレビへのインターネット接続方法はいろいろある

 会場では,写真3のC案としてパソコン・ホームサーバー経由の情報配信「Yahoo! Digital Home Engine」を紹介した。ニュースや動画などのYahoo!コンテンツをいったんDLNAサーバー(パソコン)に蓄積し,DLNAクライアント機能を搭載するセットトップ・ボックス(STB)にネットワーク経由で転送,STBに接続したテレビで再生する。会場では,2007年3月公開の映画「蒼き狼」のプロモーションビデオ(動画)をパソコン・ホームサーバーからSTBに転送,テレビで再生した。また身近な使い方として,ヤフー・フォトに格納した子供の写真にBGMをつけてスライドショーを作り、それを田舎の祖父が受け取ってテレビで再生するというシーンを実演した。

 「リビングルームで家族全員が楽しむコンテンツは,パソコンで1人だけが楽しむコンテンツとは違ったものを用意する必要があるだろう。ユーザー・インタフェースもお年寄りや子供を想定すると,これまでとは全く違ってくるだろう」と,井上氏は今後の課題を述べた。その上で,「業界団体,メーカー,コンテンツプロバイダの皆さんと協力しながら,リーダーの地位を築いていきたい」と締めくくった。