「CEATEC JAPAN 2006」で講演するヤフーの井上雅博・代表取締役社長
「CEATEC JAPAN 2006」で講演するヤフーの井上雅博・代表取締役社長
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 ヤフーの井上雅博・代表取締役社長は10月4日,幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されている「CEATEC JAPAN 2006」の基調講演に登壇。井上社長は,「Yahoo! Everywhere戦略」という構想を掲げ,どこからでも,どんなデバイスからでもYahoo!のサービスが受けられる未来像を提示した(写真1)。

 井上社長は冒頭で,日本でのインターネット利用状況を分析。今後,少子化が進み,爆発的に人口が増えない状況では「インターネットの利用者数の伸びは減速する」と述べたが,一方で「(1人当たりの)インターネット利用時間はこれからぐっと伸びていく」との期待を表明。まだまだインターネットは成長していくとした。

 この伸びを支えるのが,インターネットの利用環境があらゆる場所に広がること。そこで同社が掲げる構想が「Yahoo! Everywhere戦略」である。現在のパソコン中心のインターネット利用から,携帯電話やテレビからの利用に広がっていくとし,「場所や環境に制約されずにサービスが利用できるようになる」(井上社長)とした。

「オープンなインターネットに携帯電話の世界を持っていく」

 この構想の第一弾に位置付けられるのが,9月28日にソフトバンクモバイルが発表した「Yahoo!ケータイ」(関連記事)。Yahoo!ケータイとは,Yahoo! JAPANのサービスを携帯電話向けにカスタマイズしたポータルサイトのことである。

 井上社長は現在の携帯電話からのインターネット接続環境を,10年前のパソコン通信と同じような状況であると説明。「当時はPC-VANやニフティなどを介してメールの交換などでインターネットを使っていた程度。今の携帯電話もi-mode,EZWeb,旧ボーダフォンライブ!といった事業者のサービスを介してインターネットを利用するにとどまっている」とし,その結果「パソコンに比べてマーケットとしては小さい」と述べた。

 だが現在は,ISP(インターネット接続事業者)を介してはいるが,その先のインターネットの情報は制限なく利用できるとし,携帯電話の世界も「10年以内に同じような状況が達成できればいい」と抱負を述べた。その先駆けがソフトバンクモバイルのYahoo!ケータイであるとし,「Yahoo!ケータイは閉じたオンライン・サービスではない。オープンなインターネットに携帯電話の世界をもっていくための先導役だと考えている」とした。

テレビや自動車にもインターネットを広げる

 井上社長は携帯電話だけでなく,テレビもインターネットに接続されるとして,現在同社が参考出展しているテレビ向けの情報配信サービス「Yahoo! Digital Home Engine」を使ったデモを実施した。携帯電話で撮影し写真共有サービス「Yahoo! Photo」に登録したデータを,シャープのパソコンや,ソニーおよびパイオニアのテレビ受像機で同じIDを使って閲覧できる様子などを見せた(関連記事:【CEATEC速報】ヤフー,日本独自のテレビ向け情報配信サービスを参考出展)。

 さらに乗用車内でのインターネット利用を想定し,日産自動車製のカーナビで「Yahoo!メール」に届いた新着メールをテキスト合成して読み上げるデモも実施した。

 井上社長は講演の最後に「過去10年のインターネットの世界は米国が作って日本が真似をして,改善してきた。だがこれからの10年はケータイやテレビがインターネット利用の伸びを支える。日本が世界をリードしていける分野である」と締めくくった。