オフィス環境を想定した電力線通信のデモ
オフィス環境を想定した電力線通信のデモ
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デモで利用していたPLCアダプター
デモで利用していたPLCアダプター
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 NECとNECネッツエスアイは、法人向けの電力線通信(power line communicaton:PLC)システムの実演展示を、千葉市の幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2006」で実施している。

 2006年9月にPLCの国内解禁について見通しが立ってきたことを受け、CEATEC会場では複数のメーカーがPLCモデムなどを展示している。大半は家庭向けを想定しているが、NECでは、法人向けでも一定の需要が見込めるとして、PLC対応機器の提供と、PLCを用いた企業内LANの構築、保守を請け負う。PLCが国内で解禁になり次第、早ければ2006年11月にも発売する意向を示している。

 会場では、インターネット接続に加えIP電話と動画伝送をIP網で実現する、いわゆるトリプルプレイのネットワークをPLCで構築するデモを実施している。当初はPLC接続用の機器として、PLCアダプターを提供する。一般的なPLCモデムより構造を単純にすることで販売単価を抑え、代わりにトリプルプレイで必須となる、パケットの種類に応じて通信の優先順位を制御するQoS(quality of service)制御機能などを盛り込む。

 同社では企業向けの場合、PLC対応機器単体での販売はせず、ネットワーク構築や保守といったサービスとセットにして提供する。上述のようなトリプルプレイを実現するためにはQoS制御の微調整などが必要になることと、オフィス内では配電盤やコンセントが家庭より多く、PLCの構築が難しくなることを念頭に置いたものである。

 同社では法人向けPLCの主な用途として、「例えば学校や病院、公民館といった施設では、これまでインターネット接続を考慮していなかったケースが多く、これらの施設で新規にLANを構築する場合に既存の電力線を活用できる可能性がある。一般企業でも、受付や会議室などにはLAN端子が届いていない場合が多く、有線や無線のLANと併用しながらオフィス内の一部でPLCを導入するといった使い方が考えられる」(NECネッツエスアイ 情報ネットワークソリューション事業部 ソリューション推進エキスパートの高橋英雄氏)としている。