浅羽登志也IIJ取締役副社長
浅羽登志也IIJ取締役副社長
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 「NGNは一見オープンなようだが、実は垂直統合型のクローズドなネットワークだ」――。インターネットイニシアティブ(IIJ)取締役副社長の浅羽登志也ネットワークサービス本部長は指摘する(写真)。IIJは、NGN(次世代ネットワーク)の動向に関する記者説明会を開催した。

 「NGNによって、インターネットが抱えるセキュリティの不安を解消する点や、これまでにないサービスが生まれる可能性があることはよいこと」と浅羽本部長は評価する一方で、「インターネットの成長の中で失ったネットワークのコントロール機能を取り戻したい、というキャリアの思惑も見える」という。

 島上純一ネットワーク本部サービスオペレーション部長は、「NTTの公開資料を見るかぎり、構築しようとしているネットワークは現在のフレッツ網と大差がない。NTTがコンテンツを配信するためのネットワークにすぎず、NGNといっても、特定の通信が引き金となった輻輳がほかの通信を阻害するといった、インターネットが抱える問題の一部は解決できないままだ」と、疑問を呈する。

 「さまざまなサービスが生まれるのがインターネット。NGNもそのうちの一つ。IIJとしてはインターネットとは別のものと考えており、アクセス網の一つとして接続することになるだろう。ただ、NTT版NGNによって垂直統合型の囲い込みが進むようなら、日本はネットワークの利用で世界に立ち後れてしまう恐れがある」と、鈴木幸一代表取締役社長は懸念を示す。