写真 インターネットイニシアティブの鈴木幸一社長
写真 インターネットイニシアティブの鈴木幸一社長
[画像のクリックで拡大表示]

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は10月3日,次世代ネットワーク(NGN)に関する記者向け説明会を開催した(写真)。同社の鈴木幸一社長は以前からNTTのNGN構想に対し,「クローズな網の中で下位から上位レイヤーまでをすべて自分たちで管理・制御しようとしている」と苦言を呈している(関連記事)。説明会の内容も「我々から見たNGN」(鈴木社長)として,NGNに対する不満や警鐘が中心となった。

 まず浅羽登志也・取締役副社長がNGNの標準化や各国における動向を説明した。その中で,「電話とインターネットのいいとこどり」や「セキュリティやトラフィック増への対応が可能」など良い面ばかりが強調されているが,事業者にとっては別の事情があると指摘。具体的には,設備投資や運用コストの削減,交換機の寿命のほか,「通信事業者の狙いは,インターネットの急成長で奪われたサービスやトラフィックのコントロール機能を奪い返すこと。インフラとサービスを分け,水平分離型でオープンなネットワークのように見せかけているが,垂直統合型のクローズなネットワークを作ろうとしているだけ」とした。

 続いて,島上純一・ネットワークサービス本部サービスオペレーション部長がNTTのNGNについて解説。インターネット接続プロバイダとの接続にはQoSが提供されない点,上位レイヤーのプロトコルをHTTPやSIPなどの一部に限定している点などに不満を訴えた。「現在のネットワークが抱える問題をすべて解消するわけではないし,インターネットを代替するものでもない」とする。

 最後に三膳孝通・取締役戦略企画部長がNGNの次として“新世代”ネットワークの必要性を述べた。「電話や放送をIPインフラに置き換えると,どうしても特殊な形になる。NGNはネットワークの最終形ではなく,進化の一形態にすぎない。今後はNGNもインターネットも含め,あらゆるネットワークが相互に連携し,一つのネットワークのように利用できるようになることが重要。それを実現するための新しいアーキテクチャの開発が求められている」と締めくくった。