サーバー型放送の実用化に向けた動きが停滞している。サービスを提供するはずの放送事業者も,受信機を供給するはずの家電メーカーも,制度整備を担う総務省も,事業化に向けた具体的な動きを見せていない。

 サーバー型放送については,2001~2002年に総務省が技術的な検討を進め,NHKは2004年ごろから事業化を検討していた。だが,同じころからHDD(ハードディスク駆動装置)付きDVDレコーダーの普及が本格的に始まる。

さらに,ブロードバンド(高速大容量)回線の普及に伴い,映像コンテンツが家庭のパソコンで手軽に見られるようになった。「大量の映像コンテンツの中から,好きなものを見たいときに再生する」という,NHKが描いていた次世代のサービス構想が,レコーダーの大容量化や通信回線の大容量化で,サーバー型放送の実用化を待たずして実現した(詳細は日経ニューメディア2006年10月2日号に掲載)。