米グーグルのマイケル・ジョーンズ チーフテクノロジスト
米グーグルのマイケル・ジョーンズ チーフテクノロジスト
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ハリケーン「カトリーナ」の軌道をGoogle Earth上で動画で表示
ハリケーン「カトリーナ」の軌道をGoogle Earth上で動画で表示
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 米グーグルで「Google Earth」や「Googleマップ」の開発を統括しているチーフテクノロジストのマイケル・ジョーンズ氏が2006年9月26日、東京・六本木で開催されたCNET Japan Innovation Conference 2006 Autumnで講演、グーグルにおける地図表示サービスの現状と将来展望を語った。

 まず同氏は、グーグルの地図サービスを表すキーワードとして「コンピューター」「サイエンス」「フィクション」という3つを掲げた。コンピューターは高度にシステム化された環境を利用して効率よく目的に到達できることを指し、サイエンスは学んだことを互いに共有する文化を指す。フィクションは、必ずしもマップ内のすべてが現実ではないこと。例えば、ある都市は戦争による被害によって、以前の地図サービスで使われていた衛星写真とまったく別の街並みになってしまったという。

 グーグルは提供するサービスを通して「世界中の情報を整理して便利に利用できるようにすること」を目的としている。これと同様に、地図サービスでも世界中の地理情報を整理し、活用できるようにすることを目指すという。同氏は、グーグルの地図サービスは道具であるとし、その道具の認知と、実現したい問題点の認識が重なることで、初めて多くの問題解決につながるとしている。

 例えば、Googleマップでは、航空写真を見ながら地名や駅、主要な道路などを同時表示する「地図+写真」モードを加えるなど改良を重ねている。それでも、グーグルがすべての情報を組織化できるわけではない。そこで、地図に独自情報を付け加えたいというユーザー向けに、GoogleマップのAPIを公開している。利用サイトは着実に増え、1年で3万サイトにも上ったという。

 地球全体の地図データを収めたアプリケーションGoogle Earthでも新しい使われ方が登場している。研究機関では、地図上に測定データを貼り付けるなど、データ分析に活用されている。例えば、ハリケーン「カトリーナ」の軌道をGoogle Earth上で動画で表示したり、環境保護のために設置したWebカメラの映像やセンサーからの情報をリアルタイムで地図上に表示したりするといった使い方だ。ちなみに、昆虫学者が蟻の分布図を作る際にGoogle Earthの機能に感銘を受け、発見した蟻の1種に「google」と名づけたこともあったという。

 Google Earthは1年で1億人がダウンロードした。「コンピューターの技術を使うことで、人々は、より正確な真実を見いだすことができるツールを手に入れつつある」と同氏。これら機能をユーザーが活用できる環境を提供することで、世界をよりよい方向にしていきたいと語り、講演を締めくくった。