田島淳 執行役員
田島淳 執行役員
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「MVNO」(仮想移動通信事業者)として、PHSのデータ通信サービス「b-mobile」を提供する日本通信。同社は、さまざまなモバイルソリューションのプロバイダとしての顔も持つ。同社の田島淳執行役員に戦略を聞いた。

■総務省は今、MVNOの参入促進に向けてガイドライン策定を進めている。そのおかげで、MVNO事業をやりたいという企業が増えてきた。当社はそうした新規参入企業に向けて、顧客管理や課金システムの構築・運用を支援していく。現在、数社と具体的な交渉を進めている最中だ。

■ただし当社は、自社のデータ通信サービスだけにこだわるつもりはない。実際これまでも、専用クライアントをインストールしたパソコンからデータセンター経由でイントラネットにアクセスできるVPN(仮想私設網)サービス「SecurePB」を企業向けに提供してきた。PHSは、そのアクセス回線の一つという位置づけだ。さらに公衆無線LANサービスや第3世代携帯電話サービスも、当社がワンストップで用意できる。

■さらに、SecurePBよりも踏み込んだセキュリティソリューションを用意していく。というのも、情報漏えいや不正アクセスなどの懸念から、ノートパソコンの持ち出しを禁止する企業が増えているためだ。そうした企業の心配を解消するには、例えばパソコンがVPNにつながっていない状態でも、パソコンへの不正アクセスを防ぐ仕組みが必要だ。そこで10月から、当社のPHSカードとパソコン用の専用クライアントとを組み合わせて、ノートパソコンへの不正侵入を防ぐシステム「パーソナルIPS」をまず用意した。今後はさらに、「通信が切れたスタンドアロンの状態ではパソコンの操作を限定する」といったきめ細かいセキュリティ機能を実現していく。

■こうした新たなモバイルソリューションの展開に当たって、特に重視しているのがパートナーとの協業だ。これまでは販売面での協業が中心だったが、今後はセキュリティ分野に強いソリューションプロバイダと組み、彼らの製品やソリューションの一部に組み込んでもらうといった協業体制にも注力していきたい。