SAPジャパンは9月22日、同社が推進する「ガバナンス、リスク、コンプライアンス(GRC)管理」を支援するためのソフト群「SAP Solutions for GRC version 2.0」の日本語版を2007年初めに出荷すると発表した。これに先駆けて英語版を11月30日から順次出荷する。

 新ソフト群は、「SAP GRC Repository」「SAP GRC Process Control」「SAP GRC Risk Management」という3つの製品。Repositoryは、COSOやCOBITといった内部統制関連のフレームワークに沿って、規定文書などGRCに関する情報を一元管理するソフト。Process Controlは、文書化、評価、モニタリングなどのSOX法対応に必要なプロセスを支援する。Risk Managementは、事業とそれに関わるリスクとのバランスを分析し、可視化するためのソフトである。

 SAPジャパンの安田誠バイスプレジデント ソリューション&マーケティング統括本部長は、「新ソフトは米国SOX法を含む様々なコンプライアンス対応の実績に基づいている。日本版SOX法対応についても、今ある機能でも十分使えるはず」と語る。万が一、日本独自の法規定が出てきた場合には、機能を追加をするという。

 3製品の中で中核となるのはProcess Control。内部統制文書の策定を支援する機能に加え、策定した統制項目が有効に運用されているかを自動的にモニタリングし、評価する機能を持つ。例えば、「支払い先を登録する際に支払条件が登録されているか」、「請求書を変更する頻度が多くないか」といった評価したい項目を事前に設定して、モニタリングし、問題があれば警告を出す。

 価格については、「本社でもまだ決まっていない」(ソリューションマーケィング本部ERPファイナンシャルの大久保尚氏)とする。これまでSAPは、内部統制対策用のソフトとして「SAP MIC」を提供してきたが、今後は、Process Controlに置き換えていく。来年には、MICからProcess Controlにデータを移行するツールを提供するという。

 SAPジャパンは日本版SOX法対応ビジネスに力を注いでおり、専門部署の設置、内部統制トレーニングコースの拡充、ユーザー会でのJ-SOX/GRC分科会の発足などの施策を相次いで打ち出している。コンサルティング各社やメーカー、システムインテグレータなどパートナーとの協業もさらに強化していき、日本でも新たな協業の枠組みを作っていく。

 Solutions for GRCについては2007年前半にversion 3を、同じく後半にはversion 4を出荷するというロードマップを明らかにするなど、GRC分野の推進を早急に進める意向だ。