SAPジャパンは,内部統制関連ソフトの新版3種類を2006年11月30日から順次出荷する。具体的には,(1)内部統制の資料となる文書を格納するソフト「GRC Repository」と(2)リスク対処表(リスク・コントロール・マトリクス)に基づいた業務プロセス最適化支援ソフト「同Process Control」を11月30日に,(3)リスク管理の運用基盤ソフト「同Risk Management」を12月中に出荷する。

 (1)GRC Repositoryは文書管理ソフト。各種の法規制,企業のポリシー,社内決定事項などを記述した文書や,内部統制の「COSO(Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)」,リスク管理の「ERM(Enterprise Risk Management)」といった標準的なフレームワークに基づく文書を格納する書庫である。文書を一元管理し,複数のソフトから参照できるようにすることで,各種ツールの運用コストを削減できる。

 (2)同Process Controlは,リスク対処表の管理と,リスク対処表を利用した適切な業務プロセスの設計支援を司るソフト。業務プロセスがリスクにさらされていないかどうかを把握できる。リスク対処表を参考にしながら業務プロセスを再構築することなどが可能になる。

 (3)同Risk Managementは,他ソフトと連携することで,業務システム運用時のリスク管理を実現する。リスクの発見と対処法の策定などが可能になる。

 なお,これら3製品は「GRC(Governance, Risk and Compliance)」と呼ぶ独SAPのコンセプトを体現するツールである。最上位のマネジメントの概念であるガバナンス(企業統治)から,リスク・コントロール(リスクの把握と対処)やそれに基づく業務プロセスの設計,そしてコンプライアンス(社内で通用している各種ルール)まで,全体を一気通貫で管理するというコンセプトである。