固定電話の「ユニバーサルサービス制度」が見直されることになった。総務省は,2006年9月19日に公表した「新競争促進プログラム2010」の中で,「2010年度には全国でブロードバンド(高速大容量)通信サービスを利用できない世帯数をゼロにする」という政府方針を踏まえて,固定電話網の維持を前提としている現行制度を見直す方針を示した。このプログラムに沿って2007年にも公聴会や研究会などを立ち上げ,関係者に対する意見聴取を始める計画のようだ。

 一部ではこの計画を取り上げて,「不採算地域などではIP電話を活用することで,固定電話網の維持費用を軽減することを検討する」と報道された。だが,これに対して総務省は「まだ何も検討すべきテーマは決めていない。ユニバーサルサービス制度の将来には様々な可能性がある」と否定する。ユニバーサルサービス制度は2002年6月の導入以来,一度も発動したことがない。また,基金による補てんの発動条件を緩めた改正法が,2006年4月に導入されたばかりである。こうした事情から,拙速な方針の変更は得策ではないと見ているようだ。(詳細は日経ニューメディア2006年9月25日号に掲載)