デル日本法人は9月20日、「スケーラブル・エンタープライズと仮想化」と題した報道機関向け説明会を開催し、この12日に発表した仮想化ソフト「VMWare」のOEM販売について、その理由を説明した。

 デルが仮想化に本腰を入れるのは、サーバーの高スペック化が進んでいるため。「デュアルコアのCPUと32ギガバイトのメモリーを搭載できる高さ1Uのラックマウント型IAサーバーは、すでにユーザーが求めるスペックを超えている」(デル エンタープライズマーケティング本部ソリューション&アライアンスグループの布谷恒和マネージャー)。業務アプリケーションを一つ動作させるだけでは余剰リソースが発生するため、仮想化ソフトを利用することで、この余剰リソースを無駄なく使おうというのが、デルの主張だ。

 布谷マネージャーが挙げる仮想化のメリットは、「ソフトの寿命がハードの寿命より長いという現実に即し、両者を分離できること」。テスト環境を素早く準備できるなど、短納期が求められるシステム開発にもマッチしているという。こうした背景から「06年上半期に入ってからは、検証段階のプロジェクトではなく、実利用のプロジェクトが増えた。06年下半期に仮想化は当たり前の技術になる」(布谷マネージャー)とみる。

 実際デルは昨年、2ケタの仮想化技術を用いたユーザー事例を担当したという。システムのインフラ部分に対するコンサルティングと構築支援を手がける「デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)」が担当した。DPSは今後、これらのノウハウを生かし、ユーザーのシステムを仮想化する際のサイジング見積もりサービスを07年1月までに提供する予定だ。簡易診断とコンサルを含む有償サービスの2段階を計画している。

 仮想化ソフトには、マイクロソフトのVirtual Server 2005やオープンソースのXenなど数ある。その中からVMwareを選んだ理由については、「業界標準技術を採用するという当社のポリシーから判断した結果」(布谷氏)と説明する。「デルが仮想化というとき、それは99%、VMwareのこと」(同)という。

 最後に布谷マネージャーは、仮想化技術を利用するにあたってユーザー企業への期待を語った。「仮想化技術の利用は運用段階でこそ活発になるだけに、ユーザーのIT部門は、導入時にはベンダーの助けを得たとしても、自ら仮想化の仕組みを理解する必要がある」という。そのために、「OEM製品として出荷するVMwareのESX Serverは多機能で敷居が高い。IT部門はまず、無償のGSX Serverなどで仮想化ソフトの使いこなし方を学んで欲しい」と話した。