「BW200」(右)はDVDレコーダーの最上位機と同等の機能を備えた。「BR100」は機能を絞り、約24万円という価格でユーザーに訴求する
「BW200」(右)はDVDレコーダーの最上位機と同等の機能を備えた。「BR100」は機能を絞り、約24万円という価格でユーザーに訴求する
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松下の平原氏。「今回の製品は試作機ではない。実際に多くのユーザーに使ってもらえる製品として開発した」
松下の平原氏。「今回の製品は試作機ではない。実際に多くのユーザーに使ってもらえる製品として開発した」
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発表会場では、DVDレコーダー(左)とBDレコーダーの画質比較などを展示していた
発表会場では、DVDレコーダー(左)とBDレコーダーの画質比較などを展示していた
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 松下電器産業は、次世代光ディスクであるBlu-ray Disc(BD)の録画・再生に対応した家庭向けレコーダー「DMR-BW200」「DMR-BR100」を発売する(発表資料)。今回のラインアップからは、両製品を同社製DVDレコーダー「DIGA」の最上位機という位置付けにしつつ、次世代光ディスクの割高感を抑制したい松下の思惑が垣間見える。東芝がHD DVDレコーダー「RD-A1」で徹底的に高画質・高音質を追求し、39万8000円という価格設定としたのとは対照的だ。

 上位機であるDMR-BW200では主な特徴として、(1)BD-ROMの再生とBD-R/BD-Eの記録・再生、(2)地上/BS/CSデジタル放送の2番組同時録画、(3)放送波の乱れに起因するブロックノイズを軽減する補正回路、(4)水平走査線1080本のインタレース信号(1080i)を補間しプログレッシブ信号(1080p)へ変換する回路、(5)IEEE1394接続によるD-VHSプレーヤーなどからの映像伝送、(6)同社製薄型テレビなどとの接続によるリモコン操作の一体化、などを挙げている。このうち、(2)~(6)についてはDVDレコーダーの最上位機「DMR-XW50」とほぼ共通の仕様になっている。「ハードウエア設計上の主な変更点は、光ディスクドライブをDVDからBDにしたことと、H.264/MPEG-4 AVC(H.264)やVC-1(Windows Media Video 9)の復号化LSIを追加したこと。それ以外はDVDレコーダーの最上位機をほぼそのまま転用している」(松下電器産業の説明員)。内蔵HDD容量も500GBで同じだ。

 一方で価格は大きく異なる。DMR-XW50の実勢価格は約16万円。これに対しDMR-BW200は約30万円と、大きな開きがある。「BDレコーダーとDVDレコーダーの価格差の大半はBDドライブによるもの。BDドライブの製造コストが十分に下がっていない現状では、これ以上下げるのは難しい」(松下電器産業の説明員)。このほか、BDの記録・再生用ソフトウエアなどの開発コストが上積みされていることも一因とみられる。

 この価格差を埋めるのが、今回発表した2機種のうち低価格機に当たるDMR-BR100である。実勢価格は約24万円。15万円~20万円の価格帯にあるDVDレコーダー最上位機との価格差は小さく、少し予算を追加すればBDレコーダーに手が届くという設定にしている。ただし同製品はコストダウンのため、2番組同時録画機能を削っているほか、内蔵HDD容量が200GBとハイビジョン対応機としては小さい。

 9月20日に開催された製品発表会の会場で、松下電器産業 パナソニックマーケティング本部 副本部長の平原重信氏は、「今回の製品は試作機ではなく、実際に多くのユーザーに使ってもらえる製品とした」と説明。40万円に迫る価格帯でマニア層の支持を得ることを目指す東芝とは異なるアプローチで、市場への浸透を図る戦略を明らかにした。生産規模は2機種合わせて月産6000台。「市場にはBlu-ray Discレコーダーの製品化を待っているユーザーが多くいるとの感触を得ている。月産6000台でいけると思っている」(平原氏)と述べ、生産規模に見合う販売数量を見込めるとの自信を示した。

 さらに同社は、2倍速での記録が可能なBD-R/REメディアを11月15日に発売することを表明。「映画『タイタニック』は195分。HD DVDは2層品を使っても1枚に収めきれないが、BDなら2層品1枚で収めることが可能だ」(平原氏)など、HD DVDより1層当たりの記録容量が大きいBDの利点を強調した。

 なお、同社は欧米市場においてBDプレーヤーを発売することを発表済み。日本市場でのBDプレーヤーの投入については未定としており、当面は日本でBDレコーダー、欧米でBDプレーヤーという製品構成で事業を展開する。