持論を展開する小野寺正社長兼会長
持論を展開する小野寺正社長兼会長
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 KDDIの小野寺正社長兼会長は9月20日,東京都内で開かれた会見で,ユニバーサル・サービス制度についての対応を明らかにした。ユニバーサル・サービス制度とは,加入電話や公衆電話,緊急通報の電話サービスを全国あまねく提供するために必要な費用を電気通信事業者全体で負担する制度。主に採算性の悪い地方をカバーするNTT東西地域会社の補てんに当てられる。

 ユニバーサル・サービス制度では電話番号当たり月7円という負担額が提示されている。この負担について小野寺社長は「ユーザーが皆で少しずつ負担し合って,地方の方たちを支えるという制度の趣旨から考えて,ユーザーに負担いただくのが筋」とした。「ユーザーに負担してもらうことでNTTの経営のあり方に対する議論の盛り上がりやNTTの経営の効率化への監視の目が厳しくなることが期待できる」という見解も示した。

 小野寺社長は,ユニバーサル・サービス制度の問題点も指摘。まず,地方の電話を維持するためにどの程度の赤字なのかを正確に算定する方法がないことに苦言を呈した。「基金の算定のための情報はNTTに握られており,(別の部門の)赤字を付け替えているだけかもしれないではないか。そもそも,NTTは黒字の会社。なぜ,赤字でもない会社に補填しなければならないのか」とした。

 さらに続けて,「赤字が出た分だけ補填するということは,NTTはコスト削減のための努力をしなくていいということ。ユーザーは無駄な負担をしなければいけなくなる可能性がある」との懸念も示した。