岐阜県に本社を置く情報通信コンサルティング企業のビーム計画設計など11社は9月19日,モバイルWiMAXと放送波を中継するギャップフィラーを組み合わせた実験局免許を総務省に申請したと発表した。実験開始は免許を取得後になるが,今年11月から2007年3月まで岐阜県飛騨市神岡町山之村で電波伝搬の調査を行う計画としている。

 このシステムは,ブロードバンドが利用できず,地上デジタル放送の電波も届いていない過疎地での利用を想定したもの。モバイルWiMAXを利用することでブロードバンド通信を実現し,地上デジタル放送の放送波を中継する小型のアンテナ設備であるギャップフィラーにより,地上波デジタル放送の視聴を可能にする。

 実験では,飛騨市神岡町山之村内に高さ13mの電柱を2本設置。それぞれにモバイルWiMAXとギャップフィラーのアンテナを設置する。「1本の電柱で半径2km程度をカバーできると想定している」(ビーム計画設計)。なお,モバイルWiMAXが利用する電波は,2.5GHz帯の10~20MHz程度を予定しているという。

 電柱までのバックボーン・ネットワークは,飛騨市の光ファイバを利用。インターネットに接続する光ケーブルと,放送波を流す光ケーブルの2本を引き込む。放送波は,地上波デジタル放送を受信できる飛騨市古川町で受けた電波を,光ファイバ経由で神岡町山之村まで送る。

 この実験に参加するのはビーム計画設計のほか,NEC,NECマグナスコミュニケーションズ,アンリツ,ウェザーテック,エフワン,岐阜放送,シンクレイヤ,トーエネック,日立製作所,フジクラ。モバイルWiMAX機材の調達はフジクラが担当し,中国のファーウェイ・テクノロジーズ製の機器を使用する。

●日経コミュニケーション編集部より 掲載当初は「神山町」「古河町」としていましたが,正しくはそれぞれ「神岡町」「古川町」です。お詫びして訂正致します。2006.09.21