会見で謝罪したNTT東日本の安田雅美取締役コンシューマ事業推進本部営業推進部長(写真左),吉村辰久取締役ネットワーク事業推進本部設備部長(写真中),黒岩邦夫ネットワーク事業推進本部サービス運営部長(写真右)
会見で謝罪したNTT東日本の安田雅美取締役コンシューマ事業推進本部営業推進部長(写真左),吉村辰久取締役ネットワーク事業推進本部設備部長(写真中),黒岩邦夫ネットワーク事業推進本部サービス運営部長(写真右)
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 NTT東日本は9月20日夕刻,IP電話サービス「ひかり電話」の障害状況を説明するための緊急会見を開いた。ひかり電話は,19日と20日につながりにくい障害が発生。約80万ユーザーに影響が出た。会見の冒頭で,安田雅美取締役コンシューマ事業推進本部営業推進部長,吉村辰久取締役ネットワーク事業推進本部設備部長,黒岩邦夫ネットワーク事業推進本部サービス運営部長の3人(写真)が,「ご利用のお客様には大変なご迷惑をおかけしまして心からお詫びします」と謝罪。副社長をヘッドとした対策本部を設置したものの,依然として「原因は全力で究明中」(NTT東日本)のままだ。

 障害が起こったのは,一般消費者向けと法人向けのひかり電話の両方のサービス。19日は9時1分から19時59分まで,20日は10時2分以降,輻輳(ふくそう)により,つながりにくい状況が続いている。会見が開かれた20日の夕方時点で,障害原因と見られる「中継系呼制御サーバー」は再起動済みで,少しずつ発信規制を解除しつつある状況。発信規制の解消を優先しながら,原因分析を続けているという。

 NTT東日本は,「19日と20日の障害は別もの」と説明している(NTTの説明資料)。19日の障害は,法人向けの「ひかり電話ビジネスタイプ」の加入者系呼制御サーバーが引き金となった。このサーバーに,通常の日の3倍にもなる「呼」が集中して不安定化。それにつられ,固定電話とIP電話の接続を制御する上位の中継系呼制御サーバーまでもが,不安定な動作をし始めた。中継系呼制御サーバーの負荷を軽減する目的で,法人向けと一般消費者向けの両方の加入者系呼制御サーバーなどに発信規制をかけたため,東日本エリアのひかり電話ユーザーすべてに,つながりにくくなる影響が出た。19日の障害は,中継系呼制御サーバーの動作を見ながら徐々に加入者系呼制御サーバーの発信規制を解除。19時59分に通常どおり使える状態に回復したことを確認した。

 ところが一夜明けた20日の10時2分,今度はひかり電話の中継系呼制御サーバーが突然,動作不安定に陥った。同サーバーの負荷軽減のため,固定電話網からひかり電話への発信規制,法人向けと一般消費者向けのひかり電話の加入者系呼制御サーバーからの発信規制を実施。19日に引き続き20日も,ひかり電話につながりにくい状況が発生することになった。20日は中継系呼制御サーバーをOSレベルから再起動。徐々に発信規制を解除し始めているが,20日の夕方時点で全面復旧には至っていない。「残念ながら,現時点では何が悪いのか,何が起こっているのか分からない。19日の障害を引き起こした加入系呼制御サーバーは問題なく稼働している状況」(NTT東日本)。ちなみに,19日と20日に不安定化した中継系呼制御サーバーは同一のもの。

 今回の障害時でも110番や119番などの緊急通報は,別の呼制御サーバーで制御しているため,ひかり電話で問題なく使えるという。