E03CAを手に持つ,KDDIの小野寺正社長兼会長
E03CAを手に持つ,KDDIの小野寺正社長兼会長
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 KDDIは9月20日,耐水・耐衝撃性を備えた法人向けの携帯電話機「E03CA」を発表した。同社の法人向け端末としては,大容量バッテリーを備えた「B01K」と,無線LANと携帯電話のデュアル端末である「E02SA」に次いで3機種目となる。12月から発売する。

 E03CAは,同社が法人ユーザーの基本ニーズとして考える「連続通話,待ち受け時間の長さ」「セキュリティ機能」「本体の頑丈さ」を兼ね備えた端末に仕上げたという。通常のWIN端末の約1.5倍の連続通話,待ち受けが可能な大容量バッテリーを搭載した。セキュリティ機能としては,管理者からの遠隔操作でアドレス帳やメール機能を制限する機能を新たに設けた。これによってシン・クライアントのような使い方が可能になるという。

 またE03CAで利用できる新サービスとして,音声やテキスト,静止画情報を最大20人に対して同報できる「Business Messenger」を,2007年1月から6月まで試験提供する。これはプッシュ・トゥー・トークの仕組みを使ったコンシューマ向けサービス「Hello Messenger」の法人版の位置付け。試験サービス期間中は無料で提供する。

 なお同社の小野寺正社長兼会長は同日に開催した定例会見にて,法人市場における携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)の影響についても言及した。

 まずは法人の携帯電話の契約数が,最近になって伸びている実態について紹介。携帯電話を情報ツールとして使うことが多くなり,情報セキュリティ管理の必要性が増したことで,個人契約で業務利用していた端末を法人契約に切り替える動きが主流になっているという。携帯電話市場全体の過去1年間の成長率は5.3%だが,同社では法人市場に限定すれば倍以上の11%で成長していると推測している。

 小野寺社長は10月24日以降にMNPが始まることによって,法人の携帯電話市場が流動化すると指摘。KDDIの独自の調査によると,30%の企業がMNPの利用の意向を示しているという。企業内で複数事業者の携帯電話を契約しているケースも多く,MNPを機にそれを見直す動きが活発化すると見ている。小野寺社長は「当社はこのような動きをチャンスとしてとらえている」と語り,NTTドコモの強さが目立つ法人市場に対しても,攻めていく姿勢を強調した。