Python Software Foundationは2006年9月19日,プログラミング言語Pythonの新版「Python 2.5」を発表し,処理系と開発環境の配布を始めた。Webページから無料でダウンロードできる。対応プラットフォームはWindows(x86,x64,IA64),Mac OS X(10.3以降),各種Linux/UNIX。

 新版ではまず,信頼性を高めた。Python 2.4にあった450以上のバグを修正したという。また,処理速度も上げた。特に,例外処理と文字列処理が高速になったという。そして,言語仕様を変更し,新しいモジュールを追加収録した。

 言語仕様の主な変更点は以下の通り。まずは条件式の新しい書式を追加した。true/falseのどちらかを返す条件式を1行でシンプルに記述できるようにした。また,条件分岐を表現する「with」という新しい文を使えるようにした。従来はtry/finallyで表現していたものを短い行数で表現できるようになる。

 プログラム冒頭のImport文も改良した。従来は,使用したいパッケージがある場所を完全に記述する必要があったが,2.5では,パッケージの場所を1回完全に指定すると,同じ場所にあるパッケージは略式表記で呼び出せるようになる。

 例外処理を表現するtry/except/finally文も改良した。従来は,tryに続いてexcept文に例外に対応する処理を記述していたが,2.5ではさらにfinally文を記述できるようになった。finally文に記述した処理は,例外が発生した後でも必ず実行される。さらに,例外を示すクラスを再編成した。これにより,キーボードなどのユーザー入力による例外と,プログラムのエラーによる例外を区別しやすくなった。

 新たに加わったモジュールの中で主なものは以下の五つ。まずは,「ctypes」。これは,OSやアプリケーションの共有ライブラリやDLLにおさめられた関数やデータにアクセスする機能を提供する。二つ目は「ElementTree」。これはXML文書を処理する機能を提供する。三つ目は「hashlib」。これは暗号通信で使用するハッシュ値を計算する機能を提供する。四つ目は「sqlite3」。これは,簡易的なRDBMS「SQLite」をPythonから操作するインタフェースを提供する。五つ目は「wsgiref」。WebサーバーがWebアプリケーションのために持つべきPython言語のインタフェースを定義した「WSGI」規格に基づいた簡単なWebサーバーだ。数行のコードでWebサーバーを起動できる。