エントリー数113台のうち、73台が予選に出場した
エントリー数113台のうち、73台が予選に出場した
[画像のクリックで拡大表示]
予選デモンストレーションの様子。審査員が見つめるステージ上でロボットの機能を紹介する
予選デモンストレーションの様子。審査員が見つめるステージ上でロボットの機能を紹介する
[画像のクリックで拡大表示]

 2足歩行ロボットの格闘競技会「ROBO-ONE」の第10回大会が2006年9月16~17日、山形県長井市で開催された。ROBO-ONEは高い技術力を持つ参加者が全国から集まる大会として知られている。1日目の予選では、歩行はもちろん、ジャンプ、前転、逆立ちとさまざまなロボットが高度な運動能力を披露。2日目の格闘戦トーナメントでは、スピード感のある激しいぶつかり合いが見られた。ご当地の長井市からは有志によるロボット作成チーム「フラワー戦隊 ナガレンジャー」が参戦。決勝進出を果たした地元チームの奮闘が会場を盛り上げた。

 大会1日目の予選では、73台のロボットが2分間の自律動作によるデモンストレーションを披露した。今回の規定演技は「ウサギ跳び」。ウサギ跳びといえば人間でも関節をいためるといわれる過酷な運動なのだから、ロボットにとっては至難の技。サーボモーターに負担がかかり、ギアが欠けるなど故障につながる可能性も高い。ジャンプ後にバランスを失うと倒れてしまう。

 厳しい規定に多くのロボットが苦戦する中、見事な跳躍を見せたのは、1年前のROBO-ONE開催地である岐阜県から参加した飛騨神岡高校チームの「Neutrino X」。高いジャンプをすると同時に、胴体部分を瞬時に回転させることで、空中で向きを変えるという技で注目を集めた。

 単にその場でジャンプするだけでなく、ジャンプと同時に前方に進む動きはバランスを崩しやすく、制御が難しい。これを脚部の機構で克服したのが地元の長井市から参加したフラワー戦隊 ナガレンジャーチーム「ナガレブラック」。膝に搭載した2つのサーボモーターを回転させるように駆動させた。腕の反動を使わない、いかにもウサギ跳びらしい動作だった。ほかにも、韓国から参加した重量5kgの大型ロボット「MYRO」(Myongji Robotチーム)の迫力ある跳躍や、「キングカイザー」(マルファミリーチーム)の高さ6cmもの跳躍が披露された。

 予選デモでは、規定演技のウサギ跳び以外にもロボットが備える機能を自由にアピールできる。そのエンターテインメント性で高得点を得たのが「AFURO(A-Do Type10)」(すがわらゆうすけ&影チーム)。音センサーを利用して、観客の手拍子に合わせて歩き、障害物を倒すという観客参加型のデモを実演した。「トコトコ丸」(ちーむトコトコ)はおもちゃのハンマーで何度たたいても倒れないという安定性を見せた。

 予選ではデモを見た審査員が技術の高さ、面白さ、動作の滑らかさ、外見のデザインなど総合的な視点から点数をつける。その結果、1位は「AFURO(A-Do Type10)」、2位は「トコトコ丸」、3位は「Neutrino X」、4位は「MYRO」、5位「キングカイザー」と続いた。「ナガレブラック」は8位に入った。予選の上位32台は2日目の決勝トーナメントに進む。

■後編(9月21日掲載予定)では、2日目決勝トーナメントのもようと、今回の大会を支えた地元チームについてお伝えする。

飛騨神岡高校チームの「Neutrino X」のジャンプ
フラワー戦隊 ナガレンジャーチーム「ナガレブラック」のウサギ跳び