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“ミニ東証”が始動,カブドットコム社長船出の日に語る
ネット証券大手のカブドットコム証券は9月15日,夜間取引市場「kabu.comPTS」が問題なく稼働開始したと発表した。同日の午後11時半,東京証券取引所内・兜クラブで開催された記者会見席上で,カブドットコム証券の齋藤正勝社長は「この2年間,膝を詰めてやってきた。心配していた不正な取引やシステム・トラブルなくスタートできてホッとしている」と語った(写真)。 kabu.comPTSは「PTS(私設取引システム)」の仕組みを使って開設した,新しい株取引の場。カブドットコム証券に口座を持つ会員は,午後7時30分から午後11時までの間,株取引が可能である。 売買価格の決定方式は,東証などと同様に売買注文の需給状況で約定価格が変動する「オークション方式」だ。オークション方式によるPTSの開設はカブドットコム証券が初めて(注1)。カブドットコム証券は,これまで東証などの証券取引所がオープンしていなかった夜間にも株取引の場を提供することで,株取引人口の拡大と取引量の拡大,そして手数料収入のアップを狙う。
現時点で取引できる株は,国内上場株式のうちカブドットコム証券が選定し,流動性がある,つまり投資家に人気があり,活発な取引が期待できると見た300銘柄。トヨタ自動車などの主要な銘柄が並ぶ。 カブドットコム証券は市場として取引状況の指数を開示する。夜間取引株価指数「kabu.comPTS指数」という独自の指数である。東証など取引所におけるその日の終値を基準に,PTSで取り扱う300銘柄の全時価総額を1万ポイントと定義。夜間取引開始後における時価総額の増減を指数化し,会員の取引の参考情報として提示する。
初日の取引は昼間の2%にとどまる初日の取引はどうだったか。「ニュースの内容を受けて各銘柄の上下が見えたりと,部分的ではあるが取引所らしい動きがあった」(齋藤社長)。9月15日の夜間取引終了時におけるkabu.comPTS指数値は1万と26で,上昇した格好だ。約定金額は昼間の取引の2%だった。「目標としていた20%には届かなかった」(齋藤社長)。また,注文件数は昼間の9%、約定件数は3%にとどまった。これらの要因として,まだスタート初日だったことや,3連休前で取引が拡大しにくかったことを挙げた。 オークション方式によるPTSには“不安材料”の存在が言われている。証券会社の私設であるPTSは東証などの証券取引所に比べて注文量が少ないため,価格形成は難しいという指摘である。また,個人投資家の動向によっては,売買注文が極端に少なかったり,異常な値動きになる可能性も否めない。齋藤社長は今後の課題として株取引の流動性を高めることとし,信用取引の提供などの対策を打つ意向を見せた。 齋藤社長は明るい材料として,kabu.comPTSのWebサイトのページビューが大幅に伸びたことを紹介。「夜間でも昼間並みの件数に達した。これは今までなかったこと。ヤフーオークションの立ち上がり時期に似た現象だ。少なくとも,会員のPTSに対する高い関心が伺える」(齋藤社長)。また,夏にPTSの開設を発表してから,口座開設の資料請求数が2.5倍から3倍のペースで伸びているとした。 「おそらくこれから大きく来るだろう。今後の取引状況を見つつ手を打っていきたい」と齋藤社長はコメント。齋藤社長は会見で終始緊張気味だったが,少し自信の表情を見せた。 kabu.comPTSの情報システムは,カブドットコム証券とインタートレードが共同開発した。売り・買いの注文を出す証券取引システムはカブドットコム証券が開発・運用する既存のものを使用。各銘柄ごとに売り・買いの注文を価格順に並べ,同一数量のみを約定させていくPTSのシステムは,証券分野を専門とするインテグレータ,インタートレードが開発したパッケージ・ソフト「ITMonster」をベースにした。カブドットコム証券は今回稼働させたPTSのシステムについて,2件の特許を出願中としている。 PTSで課題の一つとして挙がっているのは,不正な取引の監視。カブドットコム証券は不正な取引を未然に防ぐための情報システムを導入したり,売買監視業務も取引状況に応じた運営体制を敷いたという。 システムの安定運用のために,kabu.comPTSの情報システムや運営事務局は,カブドットコム証券の福岡システムセンターに設置した。同社の東京システムセンター(通常の取引システムを設置)とで相互にバックアップを取る形態だ。
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