日立製作所は9月15日、2007年3月期の連結純利益が当初予想より1100億円マイナスの550億円の赤字になると発表した。連結売上高こそ9兆7400億円と予想より400億円上回るとするものの、営業利益も1100億円マイナスの1800億円になるとした。
 
 下方修正の原因としては、(1)原子力発電所のタービン損傷などにかかる補修費用、(2)ハードディスク・ドライブ(HDD)の価格低下、(3)家庭用エアコンやDVDレコーダーの売り上げ不振、の三つを挙げる。

 「電力・産業システム」セグメントの営業利益は、当初予想の930億円から580億円下方修正した。減益理由は主に、中部電力の浜岡原子力発電所や北陸電力の志賀原子力発電所に納入したタービン損傷の補修にかかる追加費用と、北米での火力発電所案件の追加費用の発生である。

 「情報通信システム」セグメントの営業利益も、当初予想の930億円から350億円下方修正し、580億とした。ストレージ関連の売り上げが好調だったものの、HDDの大幅な価格下落により損益が悪化した。HDD事業の売上高予想は、912億円減収の5688億円。営業損失では赤字幅が大幅に拡大、当初の予想から320億円下方修正し400億円の赤字になるという。今後は、垂直磁気方式を採用した新製品の投入や、歩留まり改善などを進めて収益の改善を図るとしている。このほか、「デジタルメディア・民生機器」セグメントも営業利益を170億円下方修正した。

 業績の悪化に伴い、10月から3カ月間、執行役の月額報酬を減額する。会長と社長は30%、代表執行役、執行役副社長、電力事業担当の執行役は15%それぞれカットする。また、9月15日付けで、社長を本部長とする「モノづくり強化本部」を新設して、品質保証教育や開発設計プロセス、プロジェクトマネジメント力の強化などを図る。同日付けで同じく社長を本部長とする「電力事業強化本部」も新設した。

 同社は2006年9月期の中間業績予想も大幅に下方修正した。営業利益は670億円下方修正した170億円の赤字、中間純利益は800億円下方修正した900億円の赤字とする。