アドビ システムズは2006年9月19日、PDF閲覧ソフト「Adobe Reader」の最新版「Adobe Reader 8」(以下、Reader 8)を発表した。
Reader 8で、最も大きく変わったのはユーザーインタフェース画面。従来版の「Adobe Reader 7」(以下、Reader 7)と比べて、かなりシンプルになったのが分かる(図1)。Reader 7ではツールバーに「開く」「保存」などのアイコンがあったが(図2)、Reader 8の初期状態ではそれらのアイコンがない。逆に文書内の文字列を検索する検索窓が、初期状態で表示されるようになっている。文書内の移動やページのレイアウトを設定する「ステータスバー」もReader 7では画面下にあったが、Reader 8ではツールバー部分に移動した。
初期状態はシンプルになったものの、これまでにあったアイコンを表示できないわけではない。Reader 8ではツールバーをカスタマイズできるようになったのだ(図3)。「保存」アイコンなど必要に応じてツールバーに追加できる。なお、Reader 8の起動時には操作ガイドが表示されるようにもなった(図4)。
Acrobatシリーズとの連携を強化
同日発表された「Acrobat 8 Professional」(5万7540円)や「Acrobat 8 Standard」(3万6540円)との連携も強化された。Reader 8では、新しい「ファイルの結合」をサポートする。ファイルの結合とは、複数のPDFファイルを1つにまとめたり、「Word」「Excel」といった異なるアプリケーションで作成したファイルを1つのPDFファイルにまとめる機能。これまでのAcrobatシリーズが行える結合方法では、それぞれのファイルに設定されたセキュリティや電子署名が無効になってしまうという欠点があった。
その欠点を補うため、新たに追加された結合機能が「パッケージ」。それぞれのセキュリティ設定や電子署名を有効にしたまま、1つのファイルにすることができる。これを使って作ったファイルは、OS上からは1つのファイルに見えるが、Reader 8で開くと複数のPDFファイルが含まれている。具体的には、1ページのファイルは1ページのPDFファイル(図5)、3ページのファイルは3ページのPDFファイルとして、パッケージされたファイルに収められているのだ。Acrobatシリーズで作成されたパッケージ形式のファイルはReader 8でないと開けない。もちろん、従来の結合方法で作成されたファイルもReader 8で見ることができる(図6)。
Acrobat側で、PDF作成時に各種操作ができる「権限」をファイルに与えておくと、Reader側では通常できない操作でも実行できるようになる。例えばPDFファイルへの注釈やコメントなどの追加は、Reader側では通常できないが、権限が付加されていれば、できるようになる。Acrobat 8 ProfessionalとReader 8の組み合わせでは、付与できる権限が増えた。具体的には、フォームへの文字記入と注釈の追加を同時にできるようになった。また、Acrobat 8 Professionalで電子署名用のフォームを作成しておけば、電子署名の記入もできる。さらに、フォームへ記入した文字はこれまでは印刷することしかできなかったが、Reader 8では保存もできるようになった(図7)。
Reader 8のダウンロードはアドビ システムズのWebサイトで12月から可能となる。
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