日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は2006年9月14日、垂直磁気記録方式を採用し、1平方インチあたり345ギガビット(以下、Gb/平方インチ)の記録密度を実証したことを発表した。これは現在製品化されている最大容量のハードディスク(HDD)の2.5倍以上の記録密度となる。

 日立GSTの予測では、2009年に量産品のHDDの記録密度が345Gb/平方インチに到達するという。この記録密度は、デスクトップパソコン向けの3.5インチ型HDDでは4枚構成で2テラバイト(以下、TB)、ノートパソコン向けの2.5インチ型HDDでは2枚構成で400GB、さらに小型の1.8インチ型HDDでは2枚構成で200GBの記憶容量に相当するとしている。同社は2007年上半期には、345Gb/平方インチの半分の記録密度で実現できる1TBの3.5インチ型HDDを製品化する予定。

 HDDは記録密度が高まると、情報を記録する磁化エネルギーが熱によって反転する「熱ゆらぎ」という現象が発生し、記録した情報が維持できなくなるという問題が起きる。現在、日立GSTでは「パターンドメディア」と「熱アシスト記録方式」という、熱ゆらぎを解消して記録密度をより高める技術の実用化を進めている。これらの技術を組み合わせることにより、10年後の2016年には4テラビット/平方インチの記録密度を実現し、4枚構成で25TBの3.5インチ型HDDが登場するという。さらに、将来には100テラビット/平方インチの記録密度を実現し、4枚構成で650TBの3.5インチ型HDDが登場すると予測している。

 パターンドメディアとは、現在100個の磁性粒子で1個の情報ビットを記録するところ、あたかも1粒の磁性粒子が1個の情報ビットを記録しているようにすることで記録密度を向上する技術。

 熱アシスト記録方式は、記録用の磁気ヘッド部分にレーザーを組み込み、情報記録時に対象となる情報ビットを加熱して高温状態で情報を記録する記録方式。室温では記録が難しいが、高温でなら磁気記録が可能な保磁力の高い物質を記録材料に使うことで、熱ゆらぎの発生が抑えられる。

 日立GSTの予測では、パターンドメディアを採用したHDDは2010年の早い時期に登場し、その数年後に熱アシスト記録方式を実用化するという。