日本IBMは9月14日、XMLデータの高速処理が可能なアプライアンス「IBM WebSphere DataPower SOAアプライアンス」(DataPower)シリーズを発表し、同日から出荷を開始した。2005年に買収した米データパワーの製品がベース。企業利用だけでなく、次世代ネットワーク「NGN」を構築するNTTなど通信事業者の需要もにらんでWebSphereのラインアップを強化した。

 販売は直販や既存のパートナー経由に加えて「通信機器など、ハードの販売が得意な協業先を開拓していく」(日本IBMの山下晶夫ソフトウェア事業WebSphere事業部長)という方針。さらに、WebSphere DataPowerに内蔵してあるXML処理用モジュールを他の機器メーカーにOEM供給することも視野に入れている。 

 DataPowerは、XMLのデータ構造を解析したり変換したりする機能を、専用のハードとファームウエアに実装した装置。XMLはSOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくシステムを構築する際、複数のサービスを連携するために広く用いられているが、処理が重くシステムのボトルネックになりやすい。DataPowerの場合は「XMLのデータをソフトで処理する従来のアプリケーションサーバーと比べて、速度は10倍以上に高まる」(山下事業部長)という。また上位モデルでは、XMLデータの暗号化や電子署名などのセキュリティ機能、XMLとMQやバイナリデータとの変換機能を備える。

 価格は、XML処理に特化した「XA35 XML Accelerator」が500万5000円、XA35の機能にセキュリティ機能を追加した「XS40 XML Security Gateway」が929万5000円、セキュリティ機能とデータ変換機能の両方を備えた「XI50 Integration Appliance」が1072万5000円。