ついに高速電力線通信(PLC)が解禁となった。電波監理審議会(電監審)は9月13日,竹中平蔵総務大臣に無線設備規則の一部を改正する省令案を適当とする答申を提出した。

 答申書には,短波放送や航空無線など2M~30MHz帯を利用する無線通信との混信回避策についての「要望」を付記している。その理由について,電監審会長の羽鳥光俊・中央大学理工学部教授は「省令改正案に対する意見書が異例に分厚いものだったこともあり,反対の意見について十分に配慮した」と説明した。

 答申書に付記した要望は3項目。(1)許可に当たって他の通信に妨害を与えないと認めるために,必要な場合は資料提出や実地調査をするなど慎重に審査すること,(2)混信発生時に総務省が即応できる体制を整えること,(3)必要に応じて技術基準を見直すこと,という3点に対する配慮を総務省に求めている。8月に実施した利害関係者に対する意見聴取ではPLC解禁への反対意見が続出していたほか,賛成に回った日本アマチュア無線連盟の姿勢に疑問を持ったアマチュア無線家が1800人を超える反対署名を集めて電監審に提出していた。

 今回電波法に基づき電監審が諮問を受けた省令は「無線設備規則」で定めるPLC設備に関するもの。総務省は個別の許可申請が不要でエンドユーザーが購入できるPLC設備,いわゆる型式指定機器に関する「電波法施行規則」など他の省令案についても,答申の要望と意見募集の結果を踏まえて近日改正/制定する。関係省令が定める許容値の範囲内でどこまで通信速度を上げられるか,混信時の対処をどう機器に実装するのか,実用化に向けたメーカー間の競争が激化しそうだ。