アップルコンピュータは2006年9月13日、携帯音楽プレーヤー「iPod」「iPod nano」「iPod shuffle」の新製品を発表。全ラインアップを一新した。同時に、専用の音楽管理ソフト「iTunes」の新バージョン「iTunes 7」についても紹介。iTunes上で閲覧できる専用の音楽配信サイト「iTunes Music Store」でのゲーム配信や、映画配信についても発表した。なお、ゲーム配信は国内でも実施するが、映画配信は現時点で国内では実施しない。
iPodに関しては、動画対応となった第5世代の製品が2005年10月に発表されて以来の新製品となる(図1)。新iPodは、ハードディスク容量が30GBと80GBの2モデルがある。本日から発売を始める。価格は30GBのモデルが2万9800円、80GBのモデルが4万2800円となる。
2.5インチの液晶モニターが従来品より60%明るくなり、30GBのモデルは動画再生時のバッテリー駆動時間が従来品の2時間から3.5時間に延びた。音楽再生時のバッテリー駆動時間は従来品と同じく最長14時間。サイズは幅61.8×高さ103.5×厚さ11mmで、重さは136g。80GBのモデルはビデオ再生時が最長6.5時間、音楽再生時が最長20時間となる。サイズは幅61.8×高さ103.5×厚さ14mmで、重さは157g。
■iPod nanoは5色を用意
2インチの液晶モニターを備える薄型モデル「iPod nano」は、2005年9月に発表した第1世代に続き、第2世代目の製品となる(図2)。本体の素材にアルミニウムを採用。従来のブラックとシルバーに加え、ピンク、グリーン、ブルーの本体色のモデルを用意した。
サイズは幅40×高さ90×厚さ6.5mmで、重さは40g。厚さは第1世代より0.4mm薄くなった。サイズは異なるが、質感は旧製品である「iPod mini」に近い。液晶モニターは従来品と比べて40%明るくなった。なお、動画再生には対応しない。
音楽再生時のバッテリー駆動時間は、第1世代の最長14時間から最長24時間に大きく延びた。フラッシュメモリーの容量が2GB、4GB、8GBの3モデルを用意する。メモリー容量と本体色の組み合わせは、2GBのモデルがシルバーのみ。4GBのモデルがシルバー、ピンク、グリーン、ブルー。8GBのモデルがブラックのみとなる。本日から発売し、価格は2GBのモデルが1万7800円、4GBのモデルが2万3800円、8GBのモデルが2万9800円となる。
■iPod shuffleはサイズがほぼ半分に
液晶画面を搭載しない「iPod shuffle」は、サイズは幅27.3×高さ41.2×厚さ10.5mmで、重さは15g(図3)。従来のほぼ半分のサイズになった。従来品が縦長の形状だったのに対して、新製品は高さが小さくなり、幅が若干大きくなった。本体の素材にアルミニウムを採用し、衣服に取り付けやすいよう裏面にはクリップを備える(図4)。
音楽再生時のバッテリー駆動時間は最長12時間。フラッシュメモリーの容量が1GBの1モデルのみ用意する。2006年10月より順次発売する予定で、価格は9800円となる。
新しいiPodとiPod nanoには3つの新機能を追加した。1つめは、クラシックCDなどで1つの曲が複数のトラックに分かれても、まとめて1つの曲として再生する「ギャップレス・プレイバック」機能。2つめは、液晶モニターの画面にアルファベットのキーボードを表示し、ホイールを使って文字入力することで本体内の楽曲を検索できる「サーチ」機能(図5)。3つめは、プレイリストのスクロール中に楽曲やアーティストのアルファベットの頭文字を表示することで、検索効率を高める「クイックスクロール」機能だ。
ギャップレス・プレイバック機能は、今後、iPodのソフトウエアを新バージョンに更新することで、第5世代のiPodでも使用可能になるとのこと。また、新しいiPod、iPod nano、iPod shuffleのすべてに新しいヘッドホンを採用している。従来よりもやや小さくなり、日本人の耳にもフィットしやすくなったほか、音質を改良したという。
■iTunes 7はジャケット写真で楽曲の検索が可能に
音楽管理ソフトiTunesは、新バージョンのiTunes 7となり、本日から無償ダウンロードができるようになった。従来の表示に加えて、アルバムごとに区切って楽曲を表示する「アルバムビュー」と、ジャケット写真をスクロールすることで楽曲の検索ができる「カバーフロービュー」という2つの表示方法を選べるようになった(図6)。
また、iTunes上で利用できる専用の音楽配信サイトiTunes Music Store(iTMS)で、購入した楽曲をパソコン間でコピーすることも可能になった。だたし、コピー元と先のパソコンがiTunes Music Storeの同一アカウントを使っている必要がある。
iTMSで配信するコンテンツには、ゲームが新たに加わった。現在、「テトリス」や「パックマン」など9本の作品があり、1本600円でダウンロードできる(図7)。クリックホイールで操作し、新iPodと第5世代のiPodで使用できる。
■米国では映画配信を開始
米国向けになるが、iTMSでは映画の配信も開始した(図8)。アップルのCEOであるスティーブ・ジョブズ氏が大株主を務める、ウォルト・ディズニー系の4つのレーベル「ディズニー」「ピクサー」「タッチストーン」「ミラマックス」の作品、合計75本以上を配信する。主な作品は「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「Mr.インクレディブル」など。
1本当たりのダウンロード価格は、新作の場合、DVDの発売前の予約期間から発売後1週間までが12.99ドル、その後の一定期間が14.99ドルとなる。新作ではない通常の作品は1本当たり9.99ドルとなる。現在は米国のみでの配信となるが、2007年には他国でも配信を展開していく意向だ。
映像の解像度は640×480ドット。映画に限らず、今後、iTMSが配信するミュージックビデオやテレビ番組などの動画は、すべて解像度を従来の320×240ドットから、4倍の640×480ドットに拡大する。
アップルは2007年の1~3月に、iTunes内の音楽や写真、動画などのコンテンツを無線LANを使ってテレビに送信する新端末「iTV」を投入する(図9)。音声と映像をデジタル送信するためのHDMI端子や、コンポーネント映像端子、光デジタル音声出力端子などを備える。
テレビやセットトップボックスとiTVを接続すると、iTunes内のコンテンツを再生できる独自のインタフェースを表示する(図10)。付属のリモコンで操作が可能。価格は299ドル。