インテルの吉田和正代表取締役共同社長
インテルの吉田和正代表取締役共同社長
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 新たなビジネス創造には、戦略的なIT投資を継続していかなければならない--東京・品川で開催中の「Network Summit 2006」でインテルの吉田和正代表取締役共同社長はこう訴えた。日本のIT投資はこれまで、業務スピードの改善や業務コストの削減には寄与してきたが、売り上げの拡大や顧客満足度の向上など、付加価値の創造にはあまり寄与してこなかったと指摘。そしてこれらの向上には、サービス指向アーキテクチャ(SOA)による、柔軟なシステム・アーキテクチャが必要と語った。「外部のサービスを内部のプロセスにつないだり、取り入れたりしていく器となるオープンなアーキテクチャが求められる。個別に検証したり開発したりしていると、時間やコストがかかってしまうからだ」(吉田共同社長)。

 このためのオープンなプラットフォームがインテル製品であるという。すでにインテル製プロセサを採用したサーバーは、過去10年間で国内販売300万台を超える。1996年には1200億円だったサーバー出荷金額も、2005年には3000億円と倍増した。

 また、今後重要となる技術として、vProとWiMAXによる広域無線ネットワーク技術の重要性を紹介。vProは仮想化技術やリモート管理技術、セキュリティ対策技術などを総称した企業向け技術の総称。またWiMAXはIEEE 802.16Eですでに規格が定められており、2007年に商用サービスが始まるという見通しを語った。インテルはWiMAXに力を入れており、すでに据え置き型の無線機器向けのチップセットを販売しているほか、携帯機器向けのWiMAXチップなどを商品化している「WiMAXが始まれば、外出先でも10M~20Mビット/秒の接続が可能になる」(吉田共同社長)。

 インテル自体、IT投資に力を入れている。同社では70%以上の社員が無線LANで接続しており、ノート・パソコンが80%を占めている。2005年には社員一人あたりのIT支出を8%削減し(1119ドル)、17億ドルのビジネス価値を創造したという。「当社は新技術の導入に積極的で、売上高の4.8%をITに投資している。戦略的IT投資は企業競争力強化のカギ」と語り、先進のIT技術を採用するよう呼びかけた。