首都圏で約40店の安売りスーパーマーケットを展開するオーケーが急成長している。今年3月期は売上高が1200億円を超え、過去2年は前年比で20%成長を遂げている。経常利益率も過去2年は4%台を維持する。

 オーケーの経営の原点は「売上高総経費率を15%以下に抑える」というローコスト経営にある。経費率15%という国内のスーパーでは困難にも思われる高い経営目標を掲げており、達成するためには他社と違う発想にならざるを得ない。

 その典型例が自動発注システムの積極採用である。2003年度から全店で日配品の自動発注に取り組むほか、2004年からは店内加工が必要な生鮮品以外のほぼすべての商品に自動発注を取り入れた。こうして店舗の発注業務を極力なくし、人件費を抑えている。

 独自開発している自動発注システムはオーケーの成長の原動力であり、同社は特許を出願している。公開特許公報を確認すると、確かに自動発注にまつわる複数の特許を出願中だ。既に同様の特許を米国や台湾、オーストラリアで取得している。

 オーケーが自動発注主体で店舗を運営できるのは、同社が2001年から「エブリデー・ロープライス(EDLP)」に舵を切ったからだ。毎日安売りを掲げ、特売のチラシ配布を止めた。特売をなくせば、商品の在庫変動の波は小さくなるので需要予測が立てやすい。だからオーケーは自動発注システムの全面採用に踏み切れた。

 特売をやめる代わりに、オーケーはNB(ナショナルブランド)商品については「地域で一番の安値を保証する」と宣言し、顧客を引き付ける。商品1点1点は安くても、まとめ買いや衝動買いを誘発しやすい店舗設計にすることで顧客の買い上げ点数を増やすのがオーケーの戦略だ。
 
 オーケーのビジネスモデルには競合他社も注目している。EDLPの本家本元である米ウォルマート・ストアーズは買収した西友でもEDLPを模索し続けているが、実現の道のりはまだまだ遠い。そんな西友に入り込んでいるウォルマート出身の幹部も「わざわざ米国のウォルマートを見に行かなくても、オーケーの店舗を見ればEDLPを理解できる」と言っているほどだという。

 EDLP自体は最近は国内でも珍しくなくなってきたが、土地代が安い地方都市ではなく、首都圏でEDLPを実現しているところにオーケーの特異性がある。

 地方都市のように巨大な駐車場を持つ平屋の店舗は作りづらいが、オーケーは多層階の店舗に一方通行の動線を用意して顧客の買い回りを促す工夫をしたり、店舗によっては建物の1階を地元客のための大きな駐輪場に当てて売り場を2~3階に作るなど、顧客の店内回遊率を高める試行錯誤を繰り返している。