総務省は,9月12日朝の「総務省がNHKやフジテレビジョン,NTTなどと共同でインターネットで地上デジタル放送の番組を流すための規格統一をする」との一部報道に対して,「放送の同時再送信は民間で解決すべき問題。総務省が規格統一を主導するつもりはない」とコメントした。

 村井純慶応大学教授が運営委員長を務める「IP TVフォーラム」を9月中にも設立するとの報道については,「決まっていない」(総務省)と答えるにとどまった。しかし,「次世代ブロードバンドコンテンツ流通フォーラムで,放送の同時再送信について検討の場を作ると聞いている」(総務省)と回答。次世代ブロードバンドコンテンツ流通フォーラムは,2005年12月に発足した組織で,放送事業者や通信事業者,家電メーカーで構成される。総務省はオブザーバーとして参加している。

 総務省は,2011年に地上アナログ放送が停波後の難視聴対策として,放送の同時再送信にIPマルチキャストを使う方針を2005年7月に公表済み。2006年内にも開始する方針だ。文化庁でIPマルチキャストの著作権法上での扱いについては方向性を詰めてきたが,「遅延などの影響で画面の同一性(同じ時間に同じ映像が流れるかどうか)が保てるかといった懸念材料がある。どのような免許を取得した事業者が同時再送信を担うのかといった問題は置き去りにされている」(関係者)。今回の報道は,総務省がIPマルチキャストによる同時再送信を始めるに当たって,最終的な調整に乗り出したとも読める。

 なお今回の報道に関して総務省は,「放送の同時再送信はあくまでIPマルチキャストを使った閉域網を使うのが前提。オープンなインターネットを使う話ではない。またパソコン向けに流すという話でもない」としている。