イー・アクセス子会社で携帯電話事業に新規参入するイー・モバイルは9月11日,NTTドコモと第3世代携帯電話(3G)サービスのローミングで基本合意したと発表した。イー・モバイルが音声サービスを提供する2008年3月から,東名阪エリアと一部の大都市を除く31道県において,音声およびショート・メッセージのローミングをNTTドコモから受けることになる。今後,詳細な条件を確定する作業を進める。

 この結果,イー・モバイルは音声サービス開始当初から,日本全国でサービスを展開できることになった。イー・モバイルは2008年3月のサービス開始当初,東名阪エリアと一部の大都市だけに自前のネットワークを持ち,他のエリアはNTTドコモのローミングに頼る格好になる。その後,イー・モバイルが基地局の建設を完了したエリアから順次,ローミングから自前のネットワークに切り替えていく方針だ。ローミングの期限は2010年10月までである。

 データ通信とインターネット・メールのローミングは「今後検討する」(イー・アクセス)。サービス料金についても,「ローミング時の料金設定はこれから協議する。全国で一本化した料金体系になるか,ローミング用の料金体系を用意するかは今後の検討課題」(同)とした。

 イー・アクセスは,NTTドコモとローミングの基本合意に至った経緯について「できるだけ早く全国でサービスを開始させたかったから」と説明する。ローミングする事業者をNTTドコモに決めた理由は,「ボーダフォンとも交渉していたが,NTTドコモの方が早く条件面の折り合いが付いたため」(イー・アクセス)とした。

 一方のNTTドコモは「詳細は言えないが,ビジネス面でメリットがあると判断したため基本合意に至った。ローミングでトラフィックが増えても,大都市圏を外した31道県ならば問題ないと判断した」としている。

 なおイー・モバイルは,2007年3月に音声サービスに先行してデータ通信サービスを開始する予定。ただしこの時点では,NTTドコモとのローミングは提供しない計画である。

 イー・モバイルがローミングで提供するのは,以下の31道県となる。北海道(札幌およびその周辺地域を除く),青森県,秋田県,岩手県,宮城県,山形県,福島県,静岡県,長野県,富山県,石川県,福井県,三重県,奈良県,和歌山県,鳥取県,島根県,岡山県,広島県,山口県,香川県,愛媛県,徳島県,高知県,大分県,宮崎県,佐賀県,長崎県,熊本県,鹿児島県,沖縄県。