米Red Hat社は,サーバー用途のLinuxディストリビューションの新版「Red Hat Enterprise Linux 5」(RHEL5)の最初のベータ版となる「Beta 1」を2006年9月7日(米国時間)に公開した。32ビット版(i386/i686)と64ビット版(x86_64)に加えて,PowerPC版,米IBMのzSeries版も利用できる。

 従来版(RHEL4)に比べ,(1)仮想化ソフト「Xen」を組み込んだことと,(2)ネットワークにつながったどのパソコンにおいてもユーザー独自のデスクトップ環境をサーバーから呼び出して使える「ステートレスLinux」機能を組み込んだこと,が大きな違い。このほか,インストーラやカーネル・ドライバ・モデルの改良,iSCSIなどのネットワーク・ストレージ対応,といった強化点がある。

 Beta 1は,RHEL4とは異なり,サーバー版とクライアント版がそれぞれ別のISOファイルで公開された。サーバー版は,(1)フェイル・オーバーやWebのロード・バランサを実現するクラスタ機能,(2)GFS(Global File Syste)を用いたストレージ用途のクラスタ機能,(3)Xenを用いた仮想化,の機能を含む。サーバー版のインストール時に,これらの3つの機能から選択して組み込むことができる。

 一方のクライアント版は,(1)サーバー版には含まれていないOpenOffice.orgのような一般のデスクトップ・アプリケーション,(2)開発用アプリケーション,(3)Xenを用いた仮想化,の3種類からインストール内容を選択できる。Beta 1のクライアント版では,(1)がデフォルト(初期設定)でインストールされる。