可視光通信技術を用いた位置認識システム。可視光タグをピッキングカートに搭載した場合。可視光のID情報は天井に設置されたカメラで受信される。ID情報と在庫品の保管場所とをマッチングし,作業者に最適の移動ルートなどのメッセージを送る
可視光通信技術を用いた位置認識システム。可視光タグをピッキングカートに搭載した場合。可視光のID情報は天井に設置されたカメラで受信される。ID情報と在庫品の保管場所とをマッチングし,作業者に最適の移動ルートなどのメッセージを送る
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ピッキング作業者は,頭部にヘッドマウントディスプレイ,腕にウェアラブルRFIDリーダーを装着する。在庫品までの最適な移動ルート,在庫品の位置,作業指示などのメッセージが,ヘッドマウントディスプレイに表示される。ピッキングされた商品は,ウェアラブルRFIDリーダーによって自動検品される
ピッキング作業者は,頭部にヘッドマウントディスプレイ,腕にウェアラブルRFIDリーダーを装着する。在庫品までの最適な移動ルート,在庫品の位置,作業指示などのメッセージが,ヘッドマウントディスプレイに表示される。ピッキングされた商品は,ウェアラブルRFIDリーダーによって自動検品される
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 村田機械とNECは,可視光通信を使った無線ICタグ(RFID)ソリューションを開発,2007年末までの商品化を目標に実証実験を開始した。可視光が高速に点滅する間隔(周波数)を利用して作業者の位置を特定し,RFIDで管理された在庫品のある場所へ誘導する。商品を選択・収集する(ピッキング)作業の生産性を30~35%高めることを狙う。

 物流業界では,広い倉庫内に膨大で多様な商品が置かれているため,人手による商品のピッキング作業の効率化と誤出荷が課題になっている。今回開発したシステムは,作業者に最適の移動ルートを伝え,しかもピッキングした商品の自動検品を行う。

 作業者はまず,ヘッドマウントディスプレイと可視光IDタグ,ウェアラブルRFIDリーダーを身に付ける。可視光IDタグから発信された位置情報は,天井に設置された高フレームレートカメラで受信され,画像処理サーバーの位置情報管理システムに送信され,さらに物流管理システム(Warehouse Management System;WMS)に送られる。

 WMSは,作業者の位置情報とRFIDで管理されている在庫品の保管場所とをマッチングし,作業者にメッセージを送る。すなわち在庫品までの最適な移動ルート,在庫品の位置,作業指示などのメッセージが,ヘッドマウントディスプレイに表示される。ピッキングカート(収集した商品を運ぶ台)のディスプレイに表示することもできる。ピッキングされた商品は,ウェアラブルRFIDリーダーによって自動検品される。バーコードなどを使わず,声で終了報告するだけでピッキング作業は完了する。

 一方,RFIDリーダー/ライターで収集されたピッキング情報は,SCMやERPなどの企業情報システムに送られ,受発注・出荷・在庫管理などロジスティクス業務や会計処理に利用する。

  村田機械は,物流業界向けRFIDソリューションに力を入れており,8月末には同事業でサン・マイクロシステムズとの協業を発表した。11月には「RFIDソリューションセンター」を犬山事業所内に開設,物流業務におけるRFID技術導入の検証及び支援サービスの拠点とする。