グーグル社長の村上憲郎氏
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Google社の現状。現在115の言語をサポートしている
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 「今後は,インターネットに載っていない書籍やビデオといったコンテンツの検索を強化したい。日本ではまだGoogle Videoを紹介できていないが,早い時期に開始したい」。グーグル社長の村上憲郎氏は,2006年9月7日に東京都内で開幕した,「2006東京国際デジタル会議」(日経ビジネスと日経エレクトロニクスが共催)の基調講演でこう語った。

 当初,同基調講演は米Google Inc.で初期の事業モデルの構築を先導した,同社業務開発兼国際営業担当上級副社長のOmid Kordestani氏が行う予定だった。ところが,飛行機のトラブルにより来日が遅れたため,急遽,日本法人の村上社長が務めることになった。

 村上氏は,「グーグルは何を目指し,何を変えるのか?」と題して,同社の基本的なビジネス・モデルや社内体制などについて説明した。まず事業の現状について,検索のインデックス・サイズは世界最大(競合他社の3倍以上)で,検索市場で約61%の世界シェアを持つとした。現在の従業員は7000人以上で,そのうち半数以上が開発に携わるエンジニアであるという。

 日本での事業については,「広告代理店,ISPなどパートナーの力を借りて順調に成長している。最近ではコンテンツ・パートナー,例えば日本で620あるニュース・サイトのコンテンツを基にGoogle Newsを提供している。書籍検索については,出版社から書籍を借りたり,PDFデータをもらってデータベースの充実を図っている。動画検索のGoogle Videoも早く開始したい」と話した。

 検索ビジネスにおけるヤフーやマイクロソフトとの競合関係については,「一時期,GoogleはYahoo!JAPANやMSNなどと同じポータル・サイトを目指しているのか,とよく質問されたが,当社の方針は違う。我々の目的は,どこに情報があるのかを一瞬で案内すること。ポータル・サイトではユーザーにできるだけ長い時間サイトに滞留してほしいが,Googleの場合はユーザーが情報をすぐに見つけて一瞬でサイトを立ち去ってほしい」とした。

 「当社がいつも考えているのは,ユーザーの声を聴いてよりユーザーに役立つサービスを作ること。エンジニアがサービスを開発するときには,『広告のことは一切考えず,ひたすらユーザーにとって役立つのは何かを考えろ,と常に言っている』」。シンプルで使いやすいとの評価を受けているGoogleのサービス開発方針を,同氏は基本に忠実な点にある,と再三強調した。

 なお,Kordestani氏の基調講演「Googleの考える『グローバル企業』の意味」は,9月8日17時40分に開始される予定だ。