アッカ・ネットワークス、ウィルコム、マイクロソフトの3社は9月6日、様々な機器をネットワークで接続して付加価値サービスを提供する「M2M(Machine to Machine)」の市場開発を目的とする「M2Mコンソーシアム」を設立した。関連する技術情報の共有や業種別のソリューション開発などを通じて、参加企業のM2Mビジネスの展開を推進していく。
M2Mは、POSや自動販売機、監視カメラ、工作機器など、様々な機器をネットワークで接続し、遠隔監視や遠隔制御、データの収集や分析といった付加価値サービスを提供するソリューション。例えば医療分野では、医薬品にRFID(無線ICタグ)を取り付けてネットワークで情報を収集、管理することで、誤投薬を防止したり、薬品の品質保証を実現したりできる。
アッカはM2Mソリューション事業を通信回線の販売に並ぶコア事業と位置づけ、事業の拡大に取り組んでいる。マイクロソフトは組み込みOSであるWindows Embeddedのビジネスを中心にM2M市場に注力しており、アッカとマイクロソフトは、M2Mソリューションの提供で協業関係にある。ウィルコムも、カーナビやエレベーターの緊急連絡システム、自動販売機など様々な分野でPHSを使ったM2M市場の開拓を推進している。
今回、3社が発起人となってM2M関連ビジネスを手掛ける企業の協力を推進することでM2Mソリューション市場を開拓し、ビジネスの拡大を目指す。アッカの湯崎英彦副社長は「これまでは、通信事業者やエンジニアリング会社、ソフトベンダーなどが、個々にM2Mの市場に取り組んできたため、効率的なソリューション開発ができなかった。コンソーシアムをオープンな検討の場としてM2M市場を開発し、実際のビジネスにつなげていく」(同)と意気込みを語った。
コンソーシアムでは今後、技術情報の共有や機器の接続実証実験、ワーキンググループによるM2Mソリューションの検討やビジネスモデル開発などを実施する。活動成果は、展示会やセミナーなどを通じて公開していく。
設置を予定しているワーキンググループは現在、(1)ネットワーク技術やセキュリティなどの基盤技術を検討する「M2M基盤技術ワーキンググループ」、(2)産業機械のリモート監視や製造工場の遠隔監視などのソリューションを検討する「製造業ワーキンググループ」、(3)POSやRFID、カメラなどを連携させたソリューションを検討する「流通業ワーキンググループ」──の3つ。1年後に製造業、流通業の分野でのM2Mソリューションの事例を発表することを目指す。
現在コンソーシアムに参加を予定しているのは、オムロン、カシオ計算機、ユニアデックス、ユニバーサルソリューションシステムズなど21の企業・団体。今後も参加企業を募り、業種別のワーキンググループを増やしていく計画だ。