写真 米クアルコムのエドワード・G・ティードマン シニア・バイス・プレジデント エンジニアリング
写真 米クアルコムのエドワード・G・ティードマン シニア・バイス・プレジデント エンジニアリング
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 「IEEE 802.20は現状,ビジネス面ではモバイルWiMAXに後れを取っている。しかし,技術的には優位性があると考えている」。米クアルコムでエンジニアリング部門のシニア・バイス・プレジデントを務めるエドワード・G・ティードマン氏は9月6日,同社の標準化戦略に関する説明会の場で,同社が推す無線ブロードバンド規格「IEEE 802.20」の置かれた現状をこう分析した(写真)。

 日本では,2.5GHz帯を利用した無線ブロードバンドを実用化すべく,総務省や通信事業者などが検討を進めている。モバイルWiMAXの採用を検討する通信事業者がKDDIやソフトバンクなど多数ある一方,IEEE 802.20の検討を明らかにした事業者は今のところ1社もない。ティードマンSVPは「IEEE 802.20は,端末が高速移動するモバイル環境やユーザー数が多い場合でもスループットを安定させられる特徴を持つ。(通信事業者は)技術的な優劣の面で,もっと議論をするべきだ」と主張した。

 また,IEEE 802.20をベースとした技術仕様を,第3世代携帯電話(3G)の高度化規格「3GPP2 Phase2」(通称EV-DO Rev.C)として3GPP2に提案していることを明らかにした。2007年に仕様を固め,2009年以降の商用化を目指している。

 ほぼ同様の技術仕様を,IEEE 802.20と3GPP2 Phase2という二つの規格にした理由は,「3Gであることで,割り当てに制限が出る周波数が存在するから」(クアルコムジャパンの山田純代表取締役社長)と説明した。ただしビジネスの規模は,3GPP2 Phase2の方が大きくなるだろうとの予想を示した。