米ボーランドのデベロッパーリレーションズ担当副社長兼チーフエヴァンジェリストのデビッド・インターシモーネ氏。開発者からは「David I」の愛称で親しまれる
米ボーランドのデベロッパーリレーションズ担当副社長兼チーフエヴァンジェリストのデビッド・インターシモーネ氏。開発者からは「David I」の愛称で親しまれる
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「Turbo Delphi」の画面。GUIを使ったアプリケーションを簡単に開発できるのはTurboシリーズの特徴の一つだ
「Turbo Delphi」の画面。GUIを使ったアプリケーションを簡単に開発できるのはTurboシリーズの特徴の一つだ
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同社の開発ツールの機能比較。Turboシリーズは、初級プログラマーを対象とした製品だ。さらに高度な機能が必要な場合は、「Borland Developer Studio」が用意されている
同社の開発ツールの機能比較。Turboシリーズは、初級プログラマーを対象とした製品だ。さらに高度な機能が必要な場合は、「Borland Developer Studio」が用意されている
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 ボーランドは2006年9月6日、プログラミング初級者向けの開発ツール「Turbo」シリーズの日本語版を9月19日に出荷すると発表した。「Turbo Delphi」「Turbo Delphi for .NET」「Turbo C++」「Turbo C#」の4種類があり、それぞれの「Professional」版を4万1895円で販売する。機能を制約した無償の「Explorer」版も用意しており、こちらはすでにダウンロード公開を開始している(公式サイト)。

 Turboは、1983年発売の「Turbo Pascal」以来、同社の開発ツールのブランド名として長く使われた名称。その名称を復活させた今回の製品には「プログラミングは楽しい、という思いをもう一度感じてほしい」(米ボーランドのデベロッパーリレーションズ担当副社長であるデビッド・インターシモーネ氏)との思いが込められている。なお、「Turboという名称は伝統的なものだが、内部の技術は最先端」(インターシモーネ氏)であり、コンパイラやデバッガーなどの中核部分には、2005年に発売した「Borland Developer Studio」というプロの開発者向けの製品の技術を利用しているという。

 今回発表された4種類で、Turbo DelphiとTurbo C++はWin32上、Turbo Delphi for .NETとTurbo C#は.NET Framework上で動くプログラムの開発に対応している。それぞれのProfessional版とExplorer版は、主にツールの拡張性が異なる。GUIアプリケーションの開発など基本的な機能は、無償のExplorer版も同等だが、プログラマーが独自に作成した部品(コンポーネント)を利用したり、追加機能を使ってツールを拡張したりすることはできない。こうした機能を利用するには、Professional版が必要になる。

 主なターゲットは、プログラミングを学習したい学生や個人ユーザー、プログラミング専任ではない企業内の開発者など。「Turbo Pascalは新しいプログラマーを生み出すきっかけとなった製品。今回復活したTurboシリーズも、子どもや学生など新しい世代のプログラマーに、これまでの枠を超えた新しいプログラムをたくさん生み出してほしい」(インターシモーネ氏)。ボーランド日本法人のデベロッパーツールズ事業本部でマーケティングディレクターを務める藤井等氏も「若いころTurboシリーズでプログラミングを学んだという技術者は少なくない。現在、ソフトウエア開発の現場ではプログラミングは軽視されがちだが、この状況をとても危惧している。どんなソフトウエアも、結局はソースコードがないと動かない。若いころにプログラミングをきちんと勉強すべきだ。入手しやすく、プログラミングの楽しさを感じられるTurboシリーズを使ってほしい」と熱弁をふるった。

 なお、ボーランドは開発ツール事業を近いうちに売却予定であることを明らかにしている。今回の製品はボーランドのデベロッパーツールズ事業本部が発売するが、同部署には売却に向けて関連部門が集約されており、現在は社内分社という形で活動している。売却先などについては、いまだ正式な発表はない。Turboシリーズについては、「新たな事業体で活動を始めてもずっと継続していくだろう」(同事業本部の八重樫行男本部長)という。